2012年04月16日

諫早水門開けた場合の農家のメリットは

雲仙市の若い市民から「開門することで農家は何かメリットがあるのでしょうか。」との質問をいただきました。また彼からは開門だけでなく魚付き林の植樹など魚を呼び戻すための取り組みの提案をいただきました。
これに対して、弁護団からの回答はこうです。
後背地の農家の方達は、行政が本来やらなければならない対策を怠ってきたことで危険な状況におかれてきた。潮受堤防は諫早市の水害対策にはならない(それは国も認めている)。本来やらなければならない佐賀県が行っているような既存堤防のかさ上げや排水ポンプの設置など。それなのに、後背地の農家の方々は、干拓を推進したい行政に、諫早湾干拓によって防災も農業も解決できると騙され続けてきた。開門によって、行政に本来の対策工事に力をいれさせる方が農家のメリットになる。
また、アオコやユスリカが蔓延する調整池の水を使うことは営農にとってマイナス。開門し調整池の水に頼らない農業、そして海を再生させたということでブランドイメージも上がる。
農家も反対するばかりでなく、今後の農業をどうして行くのか真剣に考えるべき。

学者の発言
・諫早湾調整池の水質改善のために年間40億円の費用をかけているが、水質基準は一度も達成できていない。調整池に汚濁物が溜まっている以上、浄水しても調整池内で汚染されてしまうから、水質改善できないのは当たり前。
・調整池内で生産されているアオコの毒素は大変なもの。長崎県は調整池の水は安全などとデマ宣伝すべきでない。
posted by 後藤富和 at 08:58| 有明海

2012年04月15日

漁業者の叫び

瑞穂漁協(雲仙市)の組合長
アサリの稚貝40トン撒いて、8トンの収穫しかない。これが諫早湾締め切り後の有明海漁業の現状。

(補足)この漁協は他の長崎県の漁協と同様かつては干拓推進でした。しかし、このままでは有明海がダメになる、漁師はやはり海で生きるべきだとして、全会一致で開門に方向転換しました。諫干について語ることがタブー視されている長崎県で組合あげて開門の意見表明をすることはかなりの勇気がいることです。

瑞穂漁協の漁船漁民
知事は水門なければ調整池の泥が出て漁業に被害が出るというが、今も門を開けていて、堤防の外の海底には1m程、調整池から排出された泥が溜まっている。魚がいない。もう4か月、漁に出ていない。

有明漁協(島原)の海苔養殖漁民
一日も早く門を開けて海水を調整池に入れないと
今年の収量は平年の6割しかなかった。しかも、海苔の種をつけた直後に、調整池からの排水で芽流れしたので、他県の漁民から海苔網を分けてもらった。
長崎県知事は、開門すれば被害が出るというが、今、一方的に排水だけされ、被害が出続けている。一歩通行でなく、調整池に海水をいれて欲しい。
農相が佐賀に来た翌日、海苔漁民の妻が死んだ。開門が伸びれば犠牲者は増える。

有明漁協の組合長
海で生活できず農家にアルバイトに出ている漁民が多い。
一日も早く調整池に海水を入れて、元の海に戻して欲しい。

大浦(佐賀県)の漁民
諫早締め切り後25名の組合員ではじめたアサリ養殖業は、今、兄弟2人だけになった。今年はもやれない。昨年来、もう獲れる魚がいなくなった。漁師たちは、漁業で生活できず、タマネギ収穫のアルバイトに出ている。親が元気なうちに海を再生させないと後継者がいなくなる。一日も早い有明海の再生のために開門を。
posted by 後藤富和 at 08:16| 有明海

2012年04月14日

諫早湾締め切りから15年

15年前の今日、有明海奥部の諫早湾が国営諫早湾干拓事業の潮受堤防(全長7km)によって締め切られました。

昨日は、長崎県庁に要請に行き、夜は諫早湾内の漁民たちと懇談を行いました。

一昨年12月、福岡高裁判決が確定したことによって、国は来年12月20日までには潮受堤防の南北両排水門を開放状態にしなけれならない法的義務が確定しました。
日本が法治国家である以上、確定した司法判断を行政が無視することは許されません。
なのに、長崎県知事は頑なに開門に反対し続けています。しかも、殊更に事実に反したデマを流して県民を騙し続けています。たとえば、長崎県知事は水門を開けたら調整池の水が有明海に流れ出て大変なことになると繰り返します。しかし、現時点でも水門は毎日のように開けられて大量の排水が有明海に流されています。その度に魚介類が斃死しています。長崎県知事の発言だけ聞くと、調整池の水は出していないかのような誤解を受けてしまいます。
よみがえれ!有明訴訟原告団・弁護団は、長崎県知事に対して、公開質問状を出しました。しかし、それに対する知事の回答は、係争中の事件であるから発言を差し控えるというものでした。呆れます。係争中の事件だから発言できないと言いながら、係争中の事件について虚偽事実だけは発言し、それに対する訂正や反論は受け付けない。民主主義をないがしろにするものです。

諫早湾の漁民たちは、干拓事業を推進し、開門に反対していると思われています。しかし、実際はそうではありません。
干拓事業が始まった時、漁民は二つに別れました。漁師である以上豊かな海で漁業を続けたいと願う者、海がダメになったんだたから干拓工事や補助金で生きて行こうという者です。
司法は豊かな海で漁をしたいと願う漁民の願いを聞き入れました。そして、政治(菅内閣)もそれを受け入れました。それでも、補助金で生きて行くと決めた漁民たちは開門したら補助金が打ち切られるとして頑なに開門に反対しています。
このような漁民間の対立は国と長崎県に翻弄された結果です。長崎県知事がやるべきは徒らに対立を煽ることではなく、対立させたことを謝罪し、もやい直しに尽力することです。
昨夜、集まってくれた漁民たちは、海の再生を確信し、さらに、漁業と農業が充実し、都会から多くの市民が訪れ、干潟体験、漁業体験を楽しみ、漁師の家に泊まって酒を酌み交わすツーリズムの拠点となる夢を語っていました。
彼らの語った夢は荒唐無稽なものではありません。すでに農村では大分県の安心院などグリーン・ツーリズムが活発化していますし、韓国のスンチョン湾では干潟を再生した結果、都会や海外から年間300万人もの人たちが訪れるようになりました。
本来、長崎県知事や諫早市長がこのような夢を市民に語りかけるべきです。いつまでもコンクリートにしがみついていても未来はありません。

今日午前中、かつては干潟だった場所で行われた「第15回諫早湾干潟慰霊祭」に参列しました。15年経っても足下にはハイガイの死骸が転がっています。読経、ご焼香、黙祷を行い、15年前に殺された生き物たち、自殺した漁民たちの霊を慰め、海の再生を誓いました。

午後は諫早市内でシンポジウム「諫早湾閉め切り15年 深刻化する有明海漁業被害と農漁共存の水門開放」(諫早湾閉め切り15年を考える実行委員会主催)に参加しました。
堤裕昭教授(熊本県立大学)の講演「潮受堤防の水門の開放すると、調整池、諫早湾、有明海奧部でどのような環境の変化が起きると期待されるのか?」
posted by 後藤富和 at 15:16| 有明海

【本日です】諫早湾締切15年シンポジウム

諫早湾干拓事業による諫早湾閉め切りから15年が経過しました。この間、新たな干拓地での営農が始まる一
方、諫早湾はもとより有明海での漁業被害は年々深刻化しています。
 2010年12月には、3年間の猶予の後に5年間にわたる常時開門を命じる判決が確定しましたが、開門の
準備は停滞したままです。判決は、事業による漁業被害を認め、今が違法状態にあることを前提に開門義務を認
めたものですが、国は開門に反対する地元住民の理解が得られていないとして、現実にいま被害を受けている有
明海漁民の救済には目を背け、違法状態の解消に不誠実な態度を取り続けています。
 集会では、農漁共存の開門実現に向けての課題や未来への展望を考えます。

【集会】
  日時: 2012年(平成24年)4月14日(土) 13時30分 〜17時 (13時開場) 
  会場: 諫早市高城会館・講堂  (諫早市高城町5-25)TEL 0957-24-1500
  資料代: 500円 (どなたでも参加できます。) 
  駐車場: 無し(最寄りの有料駐車場または上山公園をご利用ください。)

  内容:
   ◇コーラス 「干潟の海の詩」合唱団
   ◇講演 「潮受け堤防の水門を開放すると、調整池、諫早湾、有明海奥部で
          どのような環境の変化が起きると期待されるか?」
         ●講師 堤 裕昭 熊本県立大学教授 
   ◇「開門を巡る現状と課題」 よみがえれ有明訴訟弁護団 堀良一事務局長
   ◇諫早・現地報告、有明海沿岸漁業者からの現状報告
   ◇参加者との意見交換
posted by 後藤富和 at 08:17| 有明海

2012年04月05日

「よみがえれ!有明」院内集会

昨日、衆議院第一議員会館で「よみがえれ!有明」院内集会を開催しました。
民主党、自民党、共産党、社民党など与野党の多数の国会議員にご参加いただきました。
佐賀県大浦から2人の漁民も参加。一昨年12月に判決が確定し、国は来年12月までに諫早湾を締め切る潮受け堤防を開放しなければならない法的義務を負っているのに、具体的な開門作業が遅々として進まないこと、その間にも有明海の海況は悪化の一途を辿り未曾有の不漁により漁民達が疲弊し切っていることを訴えました。

院内集会後、国会議員立会いのもと農水省との交渉を行いました。
喫緊の課題は
・農水大臣の現地入り
・有明海特措法発動
です。
特に農水大臣現地入りの実現は最重要課題です。
posted by 後藤富和 at 10:45| 有明海

2012年04月02日

公害弁連総会特別決議「有明海の漁業被害の救済を求める決議」

3月31日、東京で開催された公害弁連総会で、有明海に関する特別決議が採択されました。


 2010年12月6日、福岡高裁は、国に対し、諫早湾を締め切る国営諫早湾干拓事業潮受堤防南北排水門を3年以内に開放するよう命じ、国はこの判決を受け入れた。その結果、有明海の漁業被害を解消・軽減するために、潮受堤防南北排水門を開放することが国の義務となった。
しかるに、国は、3年の開門準備期間のうち、すでに1年3か月が経過したにもかかわらず、開門の準備工事に着手しようとしない。
一方、有明海漁業は、有明海異変による漁業被害が累積し、年々深刻さを増している。それはとりもなおさず、福岡高裁判決が事業と被害の因果関係を認定した諫早湾近傍場を漁場とする漁民との関係では、加害者国による違法状態が継続しているということに他ならない。
そうした国の違法状態が継続するなか、2011年度の有明海漁業は、タイラギやサルボウなど貝類の大量死をはじめ、例年にもまして深刻な状況となっている。とりわけ、ノリ養殖業は、壊滅的な大打撃を受けている。
有明海の漁業被害は、諫早湾近傍場だけでなく、佐賀、福岡、熊本のいずれの地域でも、諫早湾干拓事業が原因となっていることは明らかである。
有明海の漁業被害の深刻化は、諫早湾干拓事業と有明海異変の関連をタブー視したなかで行われる有明海再生事業の無力さと、高裁判決が命じた開門の早期実施、開門調査の真摯な取り組みの必要性と緊急性を改めて明らかにした。
同時に、かけがえのない有明海漁業を存続させるため、かつてないノリ養殖業の不漁に苦しむ漁民への有明特措法21条(漁業被害に係る支援措置)および22条(漁業被害に係る救済措置)に基づく緊急救済措置が不可避であることも明らかである。
よって、有明海の漁業被害救済のために、国に対して、以下の緊急要請項目を直ちに実施することを求め、決議する。

1 農水大臣みずから直ちに現地入りし、被害の現場で被害者の声に直接耳を傾け、早期の開門と真摯な開門調査の実施に向けた陣頭指揮を執ること。
2 有明特措法21条(漁業被害に係る支援措置)、22条(漁業被害に係る救済措置)に基づく漁民への救済措置を早急に実施すること。
3 すみやかに開門準備工事を行い、段階的開門の第一段階として短期開門調査レベルの開門を開始し、開門調査と全開門に向けた作業に着手すること。
4 そのために必要な資料を全て公開し、有明海の漁業者らと真摯な開門協議を行うこと。
2012年3月24日
第41回全国公害弁護団連絡会議総会
posted by 後藤富和 at 07:18| 有明海

2012年03月06日

有明海漁民の意見陳述

昨日、福岡高等裁判所で開かれました「よみがえれ!有明訴訟・開門等請求控訴事件」の口頭弁論において、佐賀県太良町大浦のタイラギ漁師平方宣清さんが意見陳述を行いました。
以下に掲載いたします。
 
私は、佐賀県大浦の漁師です。今59歳ですが、漁師になったのは19歳の時でした。既に兄が父を継いでいましたが、兄だけでは人手が足りませんでした。全国の漁業者が後継者不足にあえぐ中、有明海のおかげで、大浦は男の子が1人、2人と後を継ぎ、堤防が締切られるまで、人口は増え続けていました。私の息子も、締切りが無ければ、漁師になっているはずでした。
私が結婚して独立したのは、26歳の時です。27歳の時に長女が、29歳の時に長男が生まれました。タイラギ漁の他、網でかに、すずき、クルマエビを獲って生計を立てていました。33歳の時、国が沿岸漁業に力を入れ始め、漁師仲間25人とアサリ養殖を始めました。漁で得られる収入は、年間1000万円程度で、家族4人の生活に、不自由はありませんでした。
23歳の時(昭和50年)、一度頓挫した諫早湾の締切り計画が、南総計画として浮上し、私達は青年部を立ち上げ、生活の糧である海を守るため、計画に反対して、中止に追い込みました。しかしまた、三分の一に規模を縮小した諫早湾干拓事業が再浮上してきました。ただ、この時、私達は、事業の海への影響は、干潟が埋立てられて産卵場所が減り、魚の数が少なくなるくらいだと思っていました。
事業の工事が本格的に始まったのが、40歳の時(平成4年)でした。砂をいれる作業が始まると、海に濁りが発生し、堤防の建設工事を機に、濁りは、佐賀県の海域まで広がるようになりました。砂地だった海底に泥が積もり、たくさんあった生物の巣穴の数がだんだんと減っていき、タイラギも西の海域から徐々にいなくなりました。3年後、私は、漁の減収を補うため、瀬戸内海まで、タイラギ漁の出稼ぎに行き始めました。以後10年間、途絶えることなく、この出稼ぎは続きました。
45歳の時(平成9年)、堤防が締切られ、調整池ができました。池の水位が上がると、門が開き、この調整池から汚れた水が一気に海に流されるようになりました。翌年の夏、今まで見たことのない異常な赤潮が発生しました。これまで梅雨明けに発生し、水面から20センチ程度の深さで、2,3日程度で消えていた赤潮が、この年は、深さ数メートルで、小潮の時に発生し、大潮の時に攪拌されてなくなっても、またすぐどこかで発生し、長く滞留している状態でした。港の中では、死んだ魚がぷかぷかと浮き、海底では、急激に死滅してしまった何万個ものタイラギが、ガタに埋まったまま、口を開けて、死んでいました。
この異常な赤潮とタイラギの立ち枯れが毎年続き、主軸だったタイラギ漁が、完全に休漁状態となりました。あさりは、締切後、貧酸素による被害で死滅し、元手を掛けても取り戻せなくなりました。締切前は20人ほどいたあさり組合員も、今では私と兄の二人きりです。
瀬戸内の出稼ぎは体力が必要なので、普通は40代で辞めるのですが、私は53歳まで続けました。その後は、漁だけでは足りない生活費を、商売をしている弟や佐賀平野の農家の手伝いで補っています。
 
海が戻れば、私は、また、あさり漁を回復させたい。
開門して、有明海の資源が回復すれば、若者が戻ってくる漁場があります。
 
有明海の異変が干拓事業にあることは、漁師なら誰でも分かります。原因は分かりきっていて、漁業被害もあまりにも大きいので、私は当初、裁判までしなくても国が対策を打ってくれると思っていました。しかし、漁連を通して被害を訴えても、農政局は聞く耳を持ちませんでした。地元選出の国会議員に陳情に行っても反応がなく、谷川弥一前農水政務官に至っては「理屈じゃない」と言いました。公調委の裁定で、海の異変と事業との因果関係は不明となり、もはや八方ふさがりかと、7年前、私は裁判の原告に加わったのです。
 
平成22年の高裁判決後、農水大臣が謝罪したのは、こうして20年近く苦しめられてきた私達漁業者ではありませんでした。
しかし、平成16年に佐賀地裁が工事差止の仮処分を出し、平成20年に佐賀地裁が、そして平成22年に福岡高裁が開門を命じ、この原審である長崎地裁が昨年、漁業者に損害賠償を認めたのは、約20年に渡って奪われ続けている漁業者の生活があること、この犠牲が今もまだ続いていることを、裁判所も、社会も、心にとめておいて下さい。
平成22年12月6日、ここ福岡高裁裁判所で言い渡された判決は、20年近く諍いの海となってしまった有明海の歴史に終止符を打つよう諭す判決でした。裁判所におかれては、農水省が、真に地域の防災や農業への対策を行うつもりがあるのか、真摯に2年前の判決を履行する気があるのか、無用な争いを新たに生むことが無いよう、再度紛争解決機関としての役割を果たして頂けるよう、お願いする次第です。
posted by 後藤富和 at 09:00| 有明海

2012年02月25日

よみがえれ!有明海・国会通信

国会議員や農水省職員に配布している諫早湾干拓事業と有明海異変をめぐる最新情報「よみがえれ!有明海・国会通信」は、大橋法律事務所のこのページでご覧いただけます。
http://www.ohashilo.jp/active/ariake.html
現在、2008年4月25日の第1号から2012年2月23日発行の第145号までアップしています。

福岡高裁判決の確定によって、諫早干拓排水門の開放が国の法的義務として確定しましたが、事態はまだ解決していません。
有明海再生の日まで発行を続けます。
posted by 後藤富和 at 08:50| 有明海

2012年02月15日

漁民の魂の叫び

午後、佐賀市内で、よみがえれ!有明訴訟原告団・弁護団と筒井農水副大臣との意見交換を行いました。

はっきり言うと、失望しました。
民主党政権のあまりの体たらく、官僚の操り人形になっている姿に呆れ果ててしまいました。
2012.2 004.jpg
この国は、宦官が実権を握り判断能力のない幼い皇帝を操っていた清朝末期の中国と同じ様相を呈していると感じます。
これは、自民党政権に戻せばいいとかいうレベルの話ではないです。自民党政権に戻ればもっと官僚の言いなりでしょうし、官僚からするとどの政党が政権取ろうが、日本を動かしているのは自分たちだという思い上がりがありますからね。この国の政治は末期症状です。
2012.2 038.jpg

筒井副大臣には呆れましたが、漁民たちの発言は胸を打つものでした。全員の発言を記録することはできませんでしたので、ごく一部を紹介します。
2012.2 006.jpg

2012.2 017.jpg
「どういう方法が干拓地にもいいのか、有明海の再生にもいいのか、漁業者、農業者、農水省が同じテーブルについて話し合おうじゃないですか。」(漁船漁業者、長崎県島原市)

「協議をして一番いい方法を考えましょう。なぜ、闇雲に地下水にこだわるのか。」(漁船漁業者、長崎県雲仙市)

「漁業ができずに出稼ぎに出ていた20代の漁師が昨晩亡くなった。目の前に海があるのに、なんで漁師が出稼ぎに出なけりゃならないんですか。」(タイラギ漁師(19年間休漁)、長崎県諫早市)。

「国が行った違法状態を解消しなければならない。これが福岡高裁判決の意味。国はこの点を理解すべきだ。」「干拓地でボーリングをすることに反対する干拓地の方の不安感もわかる。何で農水省はその案を決めつけるのか。農水省は決めつけるのではなく、御用聞きに徹するべきだ。」(馬奈木弁護団団長)
2012.2 039.jpg

「農水大臣直々に現地に来て欲しい。筒井副大臣にもこれからも何度も足を運んで欲しい。加害者が被害者の元に足を運ぶのが当然じゃないか。今年の深刻な被害救済のため特措法22条を発動すべき。」(堀弁護団事務局長)

中でも、佐賀県大浦の若いノリ漁師大鋸武浩さんの訴えは魂の叫びでした。彼は、僕の大学の1年後輩です。大学を卒業して漁師になったという変わった経歴の持ち主です。フジテレビのドラマ「不機嫌なジーン」のオダギリジョーのモデルだと言われています。その若い彼の未来を奪い続けているのが農水省です。
2012.2 012.jpg
 彼の発言の一部を紹介します。
「昨日も被害が出た。今日も被害が出た。明日も被害が出る。必ず出ます。農水省は自分たちが公害の加害者であることを忘れている。これは化学工場や生活排水による公害じゃないんです。あなた方が引き起こした公害なんです。そして、もっともタチが悪いのは、何度も見直すチャンスがあったんですよ。時のアセス、第三者委員会、仮処分、佐賀地裁と。その度に農水省は握りつぶしてきた。ものすごく悪質です。確信的犯罪だと僕は思います。」

2012.2 040.jpg
彼が持参したノリです。もはやノリの色はしていません。もちろん商品にはなりません。今の有明海はこれほど疲弊しているのです。
posted by 後藤富和 at 17:35| 有明海

2012年01月16日

諫早湾干拓入植のごまかし

諫早湾干拓農地で農業がはじまって3年以上が経過しましたが、意外に知られていないのは、ここで農業を行っている人たちは農地を買い取った通常の入植ではなく、5年間の期間でリース契約で農地を長崎県農業振興公社から借り受けるというスタイルをとっていることです。

このリース契約の入植者選定に当たっては、農業の経験がない会社を入植させるなど選定当初から問題が指摘されていました。
ここに来て、長崎県議会で、この入植選定問題、特に、農業の経験も実績もない谷川建設の関連会社(当初、金子長崎県知事(当時)と谷川農水政務官(当時。自民党衆議院議員)の親族が代表を務めていた)を入植させたことの不自然さが、問題になっています。
この動きで興味深いのは、従来から問題を追求してきた共産党議員だけでなく、自民党議員もこの問題を追求しているという点です。

諫早湾干拓事業:入植者選定 谷川議員の関与否定、親族企業の前社長ら /毎日新聞 1月11日

 県議会の「諫早湾干拓事業(諫干)における入植者選定に関する調査特別委員会」(百条委員会)は10日、T・G・F(大村市)の前社長ら4人を証人尋問した。同社には農業の実績がなかったが、谷川弥一衆院議員、前知事の金子原二郎参院議員の親族が役員だった。選定が公正だったかが問われたが、前社長は谷川氏らの関与を否定した。

 T・G・Fは07年3月に農業生産法人を設立。同年8月に入植に応募し、12月に決定した。しかし、翌08年3月に「国会議員の親族企業」との報道を受け、社長ら役員3人が辞任した。

 辞任について、谷川氏の長男である前社長は「農業生産法人に対する認識が十分でなく、役員が必要な農作業を行っていなかった。続けられないと思った」と理由を説明した。

 また、同社の入植には大手菓子メーカーの関連会社との取引証明書が重要な判断材料となったが、県の担当者が選考審査前に、T・G・Fに証明書を入手するよう助言していたことが判明した。
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20120111ddlk42010423000c.html

衆院議員の関与否定 諫干百条委の証人尋問で親族/長崎新聞1月11日

 国営諫早湾干拓事業の営農地に前知事と自民党衆院議員の親族企業(大村市)が入植した手続きを調べる県議会の調査特別委員会(百条委)は10日開き、衆院議員の長男で前代表取締役(40)らを証人尋問した。

 委員らは「企業設立や入植の際に衆院議員が関与したのではないか」などとただしたが、前代表取締役は「指示はなく、すべて私が意思決定をした」と否定した。

 2008年9月、同社が同市農業委員会に提出した報告書では、前代表取締役も農作業を一定期間する計画だったが、実際の作業には従事しておらず、委員らは「入植に必要な農業生産法人の要件を満たしていない。入植するために公文書を偽造した疑いがある」などと追及した。

 これに対し前代表取締役は「当時は要件を十分理解しておらず、(農作業を一定期間すると)記載をミスした。私は経営全般を担う形で農業に従事する考えだった」と釈明した。

 百条委は次回も関係者への尋問を続けることを確認した。
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20120111/08.shtml
posted by 後藤富和 at 16:57| 有明海

2012年01月05日

WWF

WWFの会報(367号。2010-2011年次報告特集号)にこの1年間のWWFジャパン活動報告が載っています。
その中の「海を守る」活動の中で、「2010年12月に開門判決が出てもなお議論を呼んでいる諫早湾問題に対しては、冊子『諫早湾開門本当に大丈夫なの?』を作成。諫早地域の方々に配布して、情報の普及に努めました。」との報告がありました。

昨年3月に作ったこの冊子のことです。
http://www.ramnet-j.org/2011/04/13/kaimon201104.pdf
posted by 後藤富和 at 15:01| 有明海

2011年12月06日

違法状態のすみやかな解消を 1審原告が主張 福岡高裁

昨日の有明訴訟の口頭弁論を傍聴した市民原告(元新聞記者)がブログに昨日の模様をつづってくれましたので転記します。写真は、11月24日の大臣面談時に、鹿野農相に漁業被害を訴える島原(長崎県)の漁師です。
gyominn.JPG

 よみがえれ!有明訴訟は、佐賀地裁で提起した本体訴訟は昨年12月福岡高裁の開門判決の確定によって国の開門義務が確定した。それと並行して、小長井(長崎県)、大浦(佐賀県)の漁業者が国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の即時開門を求めた訴訟(小長井・大浦漁業再生事件)の控訴審第1回口頭弁論が12月5日、福岡高裁(広田民生裁判長)で開かれた。
1審原告側は、原告の漁業者松永秀則氏、弁護団長の馬奈木昭雄弁護士が意見陳述した。松永氏は「有明海は今もますます壊れ続けている。決して金が欲しいわけではない。ただ、元の宝の海を取り戻したい。一刻も早く開門を」と訴えた。

諫早湾干拓事業が漁業被害を引き起こしたとして漁業者らが排水門の開門等を求めた一連の訴訟のうち、有明訴訟(1審・佐賀地裁)では、国に排水門の常時開放を命じた福岡高裁判決(2010年12月6日言い渡し)が確定。一方、この日控訴審が始まった即時開門訴訟では、1審・長崎地裁は2011年6月27日、同事業による漁業被害を認定し国に損害賠償を命じたが、即時開門を認めなかった。長崎地裁判決を不服として、国・原告双方が控訴していた。即時開門訴訟で原告側は、短期開門調査程度の開門であれば数か月程度の準備で容易に実行できるとしてただちに開門することを求めている。

馬奈木弁護団長は、「確定した福岡高裁判決は国による違法状態の解消、漁業被害発生防止のために『常時開放』を命じた」「1審・長崎地裁判決も漁業被害について国の違法状態が継続していると認定し損害賠償義務があると宣言した」と指摘。国の態度について、開門の準備を遅らせ、深刻な被害を違法状態に放置していると批判。裁判所の役割は違法状態のすみやかな解消にあると求めた。

口頭弁論後開かれた報告集会で、漁業者が今季の養殖ノリ漁の不作、12月18日解禁のタイラギ漁やイイダコ、カニ、エビの状況を告発し、「有明海から漁民がいなくなる」「どんどん悪くなる。一日も早く開門を」と訴えた。

馬奈木昭雄弁護団長  確定した福岡高裁判決が命じた開門とは違法状態を解消するための方法であり、それが「常時開放」だ。官僚の裁量で開門方法を決めるものではない。官僚は福岡高裁判決に従わない無法者の態度を示している。判決どおり開門を実行させるのは主権者国民の力だ。開門の方法を指図できるのは官僚ではなく勝利した原告だ。いったん開門した後で農業者・市民に被害が起きないように状況に応じた開閉の方法がある。専門家を交えてきちんと協議したい。短期開門調査程度の開門はすぐできる。いまや争点は、来年5月の開門か国が検討しているといわれる再来年5月の開門かに絞られた。11月24日の農水大臣との面会で、鹿野大臣は佐賀への現地訪問について「日程の検討も含めて検討する」とのべた。必ずお出でいただけると思っている。そのとき大臣は、知事や組合長の意見だけでなく現場で働いている漁民農民の声を聞くべきであり、違法状態を引き起こしたこと、いまだに違法状態を解消できないことを謝罪すべきだ。私たちとしては、開門反対派との対話集会をしたいとずっといってきたが、不安の源を聞く対話集会、押し売り型ではなく御用聞き集会として開きたい。
posted by 後藤富和 at 15:46| 有明海

2011年11月24日

【ご案内】よみがえれ!有明訴訟・福岡高裁傍聴のお誘い

よみがえれ!有明訴訟の迫力ある法廷を見にきませんか?
どなたでも傍聴できます。
裁判を見学する絶好の機会にもなります(一般の民事裁判は極度に書面化され法廷では書類の提出の確認に終始しており市民が傍聴しても何が行われているのか分かりにくいのですが、有明訴訟は、漁民も弁護士も法廷の場で自分の声で訴えますので、市民にも大変わかりやすく、しかも迫力あるものとなっています)。
ぜひご参加下さい

とき  12月5日(月)13時集合
ところ 福岡高裁門前
    13時10分 門前集会
    14時    法廷傍聴

 終了後、裁判所裏の福岡市中央市民センターで報告集会

有明海の環境悪化すすみ漁獲量激減、漁民生活できず
    今年の諫早湾と有明海は環境悪化がさらに深刻になり、魚介類がほとんど取れない「死の海」に近付きつつあります。ノリ漁民もノリの種付けから環境悪化の影響を受け、赤腐れ病の蔓延と大雨後の調整池の汚濁水の大量排水後ノリ芽が流れ過去最悪の状況で今期のノリへの不安が強まり、1日も早い開門をとの漁民の声が高まっています。

農水省、長崎県開門反対派は開門妨害で策動
 農水省は、福岡高裁開門判決確定後1年間、何ら身のある開門協議をに応じず、開門に向けた誠実な対応をしてきていません。長崎県開門反対派は、開門阻止訴訟と同仮処分を長崎地裁に行い、農水省のこれまでと同じ主張を繰り返し、何がなんでも開門に反対しています。原告団、弁護団は開門調査を機に、農業・防災と漁業が両立する農漁共存の対策を示し、長い対立と諍いをなくすため話し合いで解決をと一貫して努力してきました。

 開門判決が出なかった長崎地裁の福岡高裁控訴審がいよいよ始まります。必ず勝利するために多くの漁民、支援者の参加を心から呼びかけます。
posted by 後藤富和 at 09:14| 有明海

農水大臣面談

農水大臣との面談のために東京に行ってきます。

本日11:20から農水大臣との面談で、その後、12:00から衆議院第一議員会館第5会議室において「よみがえれ!有明海 福岡高裁判決から1年」院内集会を開催します。

院内集会の模様は、Ustreamで生中継する予定です。
興味ある方は、時間になりましたら、下記のサイトにアクセスしてください。
http://www.ustream.tv/channel/isahaya
posted by 後藤富和 at 06:44| 有明海

2011年06月03日

筒井農水副大臣との懇談

一昨日午後は、筒井農水副大臣との懇談。
昨年末、福岡高裁が諫早湾干拓事業に関し、国に対し3年以内の開門を命じ、政府はこれを受け入れました。
しかし、政府は、長崎県知事に遠慮して、アセスを言い訳にして、具体的な開門方法や時期などの明言を避けてきました。
その国が引き延ばしの柱としてきたアセスの素案が、本来であれば、5月中に出される予定でした。
しかし、結果的に、政府はアセスの素案を5月中に出す事ができませんでした。

そもそも、開門が法的義務として確定したのですから、アセスを経るまでもなく、調整池に代わる農業用水の水源を確保しなければなりません。また、後背地の排水対策のために排水ポンプを設置しなければなりません。この2つはアセスを見るまでもなく必要なことです。

そこで、以下の二点を要請しました。
・直ちに調整池に代わる農業用水の水源を確保すること。
・代替水源の確保ができ次第、水門を短期調査レベルに開放すること。
筒井副大臣と率直な意見交換ができました。
それにしても、判決で負けても往生際が悪い官僚って、どこ向いて仕事をしているんだか。

夜は、日比谷公会堂で総決起集会。
福島の漁業者、農業者の訴えは僕らの胸に響きました。
特に有明海の漁業者達は同じ漁民として海を奪われた悔しさに共感していました。
日本の歴史上最大の公害といえる福島原発事故について、有明漁民を含めた全国の公害被害者が連帯して取り組んで行くを確認しました。

副大臣との懇談の様子がサガテレビのニュースで流れていました。
http://www.sagatv.co.jp/
posted by 後藤富和 at 14:07 | TrackBack(0) | 有明海

2011年04月19日

開門阻止訴訟に関する声明

−声明−

いわゆる開門阻止訴訟の提訴にあたって

2011年4月19日
よみがえれ!有明訴訟弁護団

 本日、諫早湾干拓事業による潮受堤防排水門の開門を差し止める訴訟が長崎地裁に提訴された。
 開門は、上告が見送られて確定した昨年12月6日の福岡高裁判決に基づく国の義務であり、判決に基づく義務の履行が違法性を有することはありえない。また、開門をめぐる論点は、佐賀地裁から福岡高裁まで8年間の長きにわたる法廷での論争ですべて出尽くしており、この訴訟は、いたずらに論争を蒸し返すものにすぎない。およそ、開門阻止訴訟に未来はない。
 今回、こうした訴訟が起こされたことについて、国は、真摯に反省すべきである。
これまで国は、一方で、有明海異変のなかで深刻な漁業被害に苦しむ漁民の開門要求を、有明海異変と干拓事業の因果関係がないなどと言って聞き入れず、被害を長期間放置してきた。他方で、開門によって農業や防災がだいなしになるなどと、地元の人々の不安をあおってきた。そのなかで、開門を求める漁民等と開門に反対する地元の人々との間に深刻な溝が形成されている。そうした国の言い分をことごとく退けた福岡高裁判決が確定した以上、国は、被害に苦しむ漁民と不安をあおられた地元の人々の双方に謝罪し、安全・安心の早期開門の具体的な方策について指し示さなければならない。しかるに、福岡高裁判決確定から4ヶ月が経過した今も、なんら国からの具体策は示されていない。そのため、開門を求める漁民の間にも、開門に反対する地元の人々の間にも、不安が渦巻いている。
 わたしたちは、本日提訴の開門阻止訴訟の利害関係人として、早急に準備のうえ、この訴訟に補助参加し、福岡高裁判決が指し示したとおり、漁業と農業・防災が両立する開門は可能であること、開門によってこそ、真に農業も防災も達成することができることを改めて明らかにする所存である。
 わたしたちは、この訴訟は、農業や防災に不安を抱く人々と直接に向き合って協議することができる貴重な場であると考えている。
 深刻な不漁に苦しむ漁民も、農業や防災に不安を抱く人々も、どちらも無謀な干拓事業の被害者である。わたしたちは、そうした立場から、今回の訴訟に補助参加する。訴訟においては、安全・安心の開門にむけて積極的に提案をしていきたいと考えている。
 そして国に対し、わたしたちの提案を真摯に受け止め、開門を求めてきた漁民と開門に不安を抱き続けてきた人々の双方が納得できるような、安全・安心の開門の具体的な姿を、一日も早く指し示し、確定判決に基づく開門の義務を誠実に履行するよう、強く訴えるものである。
以上
posted by 後藤富和 at 17:42 | TrackBack(0) | 有明海

諫早宣言

●干潟を守る日2011in諫早 アピール

 2010年12月、諫早湾の開門調査を求める判決が確定し、いよいよ開門の実現に向かうことになりました。1989年11月の起工式以来、20年以上が経過した諫早湾干拓事業ですが、諫早湾内に始まり、1997年の潮受け堤防閉め切り後は有明海全域に広がった環境破壊と漁業被害から、干潟復元・有明海再生へと歴史的な転換の扉を開いたのです。湿地破壊の象徴となった“ギロチン”の悲痛を胸に4月14日を「干潟を守る日」と定めて全国の干潟・湿地の保全に取り組む運動が始まってから14年目の春を迎え、私たちは、ようやく希望の光を確かめ合うことができました。

 しかし、干拓事業推進に固執する長崎県と関係団体は、あくまでも開門に反対し、開門の実現は平坦ではありません。私たちは、農漁業の共存に向けて対話が必要であるという立場から、開門の在り方を検討しました。
 その結果、短期開門調査レベルの開門から始め、様子を見ながら常時開門を目指す段階的な開門方法を採れば、農漁業が共存し明るい未来が開けることを確認しました。
1)農業用水は、水質の悪化した調整池の水を使うことなく、ため池や浄化センターの処理水など別途手当ができること。
2)防災面では、第1段階の開門には現状でも支障はなく、第2段階において排水機場や樋門、排水路の整備などを進めていき、整備が完了したところで常時開門に至れば支障はないこと。またガタ土の浚渫は重機を使用すればよいこと。
3)塩害は、佐賀県などでも報告されていないように、心配ないこと。
4)排水による漁業被害は今起きているのであり、海水交換を伴う双方向の開門にすることで、むしろ被害の改善が期待されること。
5)潜り開門などの方法により、豊かだった諫早干潟をある程度回復させることができる。
などです。

 国や長崎県の虚偽宣伝がもたらした長年の諍いに終止符を打ち、すべての住民が本当に安心・安全に暮らせるように、そして有明海沿岸地域の明るい未来を切り拓いていくために、今こそすべての関係者が真剣に話し合わなければなりません。

 東日本大震災の被害、特に原発事故による危機的状況は、私たちに、自然との共生そして持続可能な社会の構築が必要であることを教えています。無駄で有害な公共事業、止まらない公共事業の象徴と言われてきた諫早湾干拓事業ですが、湿地の保全・再生の取り組みが持続可能社会の構築に貢献するというラムサール条約の目標実現の第一歩として、諫早湾の開門を世界が注視しています。長良川河口堰のゲート開放をはじめ、開発の危機から湿地を救い守る全国の活動に確かな道筋を指し示すためにも、私たちは諫早湾の開門を確実に実現しなければなりません。
 私たちは、国に対して、開門アセスのプロセスに従うことなく、早急に諫早湾の段階的開門を始めることを求めるとともに、長崎県や関係団体が真剣に話し合いのテーブルにつくことを切望します。開門の実現により農漁業共存の持続可能社会を作り上げたいと願っています。

               2011年4月16日
「干潟を守る日2011in諫早」シンポジウム参加者一堂
posted by 後藤富和 at 17:36 | TrackBack(0) | 有明海

2011年04月14日

干潟慰霊祭

14年前の今日、諫早湾はギロチンによって有明海から切り離されました。

かつての諫早湾干潟・白浜桟橋跡で、第14回干潟慰霊祭が挙行されました。

私も参列しました。

主催者の本さん、馬奈木弁護団長、故山下弘文さんの奥さんらの挨拶に続き、僧侶による読経。
2011.4 626.jpg

2011.4 628.jpg

人間の身勝手な行いで虐殺された数千億(数兆?)の生物たちの霊を慰めます。
2011.4 632.jpg

当時、干からびていく干潟の中で、甲羅が真っ白になったカニ達がみんな、潮がやってくるはずの海の方を向いてじっと固まっていたそうです。食べられて死ぬのとは意味が違います。

2011.4 636.jpg

ご焼香
2011.4 644.jpg

2011.4 648.jpg

はるか遠くに見えるのが潮受堤防の北部排水門。2013年12月までに開放されることが決まりました。ここまでくるのに14年もかかってしまいました。
2011.4 650.jpg

ギロチンが落とされた11時30分に参列者全員で黙祷を捧げました。
2011.4 655.jpg
posted by 後藤富和 at 19:51 | TrackBack(0) | 有明海

2011年04月13日

諫早湾開門 本当に大丈夫なの?

パンフレット「諫早湾開門 本当に大丈夫なの?」(WWFジャパン発行)が出来上がり、今日、全国会議員と、農水省職員に配布しました。 

このパンフは特に諫早の現地の方々に理解していただくために、会話形式で「開門」について説明したものです。現地の方以外でも、諫早湾開門の現時点での論点を整理した入門書としてお読みいただけると思います。

以下に、PDFファイルを置いておきます。データの転送、転載は自由ですので、ぜひ多くの方に広めてください。
http://www.ramnet-j.org/2011/04/13/kaimon201104.pdf
posted by 後藤富和 at 18:28 | TrackBack(0) | 有明海

2011年04月03日

漁民報告会

昨日は、佐賀市民会館で、有明訴訟の漁民報告会でした。
12月に判決確定したのに、なぜこの時期に報告かといえば、海苔漁民は10月から4月中旬までが漁期で昼夜問わず作業をしており時間が取れないからです。佐賀の漁連は、東日本大震災の支援のため軽油を現地に送ろうと、海苔漁期の終了を早めました。その結果、昨日報告会ができたという次第です。

報告会には、タイから日本に留学に来ているタイ野鳥の会事務局長のティーさんも参加。
タイの人から見ても、なんでこの干拓が必要なのか?と疑問盛りだくさんのようでした。
posted by 後藤富和 at 22:24 | TrackBack(0) | 有明海

2011年03月30日

【ご案内】干潟を守る日2011in諫早シンポジウム

諫早湾開門 農漁共存に向けて対話を求めて
≪再度、干潟の重要性を考える≫

昨年12月、諫早湾の長期にわたる開門調査を求めた福岡高裁判決が、菅内閣の上告見送りによって確定し、諫早干潟そして有明海の再生に向けて力強い前進となりました。しかし、長崎県や開門に反対する農業者団体を中心に激しい抵抗があります。開門によって、農業用水はどうなるのか?水害や塩害の不安、新たな漁業被害の心配など、農漁共存に向けて事実に基づいた対話が求められます。
国や長崎県の虚偽宣伝がもたらした長年の諍いに終止符を打ち、すべての住民が本当に安心・安全に暮らせるように、そして有明海沿岸地域の明るい未来へと繋がるように、諫早湾の開門について真剣に話し合いませんか。

日時 4月16日(土)13:30〜17:30
会場 長田みのり会館(諫早市長田町2364−1)
参加費 1000円

プログラム
基調講演 諫早干潟の価値と再生への期待
     佐藤慎一(東北大学総合学術博物館)
訴訟報告 開門実現に向けて【判決の意義、現在の到達点と今後のロードマップ)
     堀良一(よみがえれ!有明海訴訟弁護団)
解説   農漁共存の開門とは
     菅波完(有明海漁民・市民ネットワーク)
フリーディスカッション 進行 片寄俊秀(大阪人間科学大学)

主催 諫早干潟緊急救済本部/東京事務所、有明海漁民・市民ネットワーク
後援 よみがえれ!有明海訴訟を支援する長崎の会、まえ海を守る鹿島の会、凡人・未来塾、WWFジャパン
posted by 後藤富和 at 09:20 | TrackBack(0) | 有明海

2011年03月29日

追加提訴

今日は、よみがえれ!有明訴訟の長崎地裁での追加提訴でした。
昨年12月、政府は福岡高裁開門判決を受け入れ開門を決断しましたが、未だに具体策に着手しません。
政府の煮え切らない姿勢に痺れを切らし、諫早湾内の漁業者達が続々と開門を求め裁判を起こしています。
posted by 後藤富和 at 21:22 | TrackBack(0) | 有明海

2011年02月28日

【学習講演会】排水門、開けたらどうなるシミュレーション

「諫干開門調査」学習講演会のお知らせ

排水門、開けたらどうなるシミュレーション


講師 九州大学大学院総合理工学研究院流体環境理工学研究部門 経塚雄策教授(工学博士)

 昨年12月、福岡高裁で被告国へ3年以内の準備期間の後、5年間の常時開門を命じる判決が出され確定しました。しかし、長崎県や諫早市は「開門したら大変なことになる」として開門調査絶対反対です。開門したら本当に大変なことになるのでしょうか?
 経塚先生にコンピュータ・シミュレーション(数値モデル計算)の結果を用いて「賢い開け方」について解説していただきます。
 市民の皆さまの多数の参加をお待ちしています。

日時 2011年3月6日(日)午後2時〜4時
会場 諫早市民センター(諫早市中央公民館)
入場無料

主催 諫早湾の干潟を守る諫早地区共同センター
   諫早湾干拓開門調査を求める諫早市民の会

経塚先生紹介
 専門分野は海洋環境工学、海洋工学。研究業績のひとつに「有明海の海洋環境変化に関する研究」があります。有明海における潮汐・潮流の減少の原因について、諫早湾潮受堤防排水門開閉制御による流れと海水交換、有明海の物理環境のシミュレーション、諫早湾の潮受堤防排水門の開放に伴う流動についてなど多数の研究発表があります。その他、潮流を利用した発電や大規模洋上風力発電なども研究されています。
posted by 後藤富和 at 18:09 | TrackBack(0) | 有明海

2011年02月02日

開門協議

昨日は、国との「開門に向けた協議」第1回のために東京に行っていました。
posted by 後藤富和 at 13:05 | TrackBack(0) | 有明海

2011年01月31日

荒尾の干潟は渡り鳥の"オアシス"

昨日、「荒尾の干潟は渡り鳥の"オアシス"」(場所/荒尾総合文化センター、主催/荒尾市 協力/日本野鳥の会熊本県支部 後援/熊本県、財団法人日本野鳥の会、WWFジャパン、熊本日日新聞社、有明新報社)に、参加してきました。
2011.1 091.jpg

はじめに、荒尾市長挨拶
荒尾の干潟は日本一の面積。日本第2位の渡り鳥の飛来数。1位は佐賀県の大授搦(ダイジュガラミ)。荒尾の干潟は素晴らしい。

柳生博氏(日本野鳥の会会長)の講演
2011.1 088.jpg
荒尾に日本一の面積の干潟が保全されたのは、市長をはじめ市民の皆さんの取り組みが素晴らしかったから。先人が思いを持って残してきたもの。
野鳥は、ジョンレノンのイマジンのようなもの。野鳥にとっては、国境もない。その鳥達が、ここで休む。そういう中継地点が重要。単一干潟としては日本一の面積(1656ha)の荒尾の干潟。荒尾の干潟は1978年以降減少していない。これは世界の宝である。これを言いたくて今日は来ました。
豊穣の海「有明海」の向こうに雲仙の山が見える素晴らしい風景。
去年の生物多様性COP10が名古屋であった。経済を中心とする社会構造は終わりを迎えた。これからは生物多様性が社会のスタンダードになる。人間も生き物の一員。生き物と人間のクロスロード(交差点)が干潟。
「私が、私が」ではなく、地球の裏側の人達のことも考える、人間だけでなく生き物のことにも思いを馳せる。
荒尾では、グリーンランド(遊園地)も観光の目玉でしょう。でも、これからは干潟を中心としたエコツアーが中心となるでしょう。
コスタリカの例をみると、エコツアーが経済の中心になっている。観光客は生き物を見に来ている。なぜ、こういった取り組みになったのか。それは一度破壊した熱帯雲霧林を再生させようと思ったから。
今日はるかに諫早湾を望みながら来ましたが、権力や力を誇示しながら生きていくという時代ではなくなっている。
良い環境というのは、生きとし生けるもの全てが機嫌良く生きていられる環境。人間だけが機嫌良く生きて行ける環境ではダメ。荒尾の干潟のように、人間も生き物も機嫌良く生きていける環境が必要。
これから荒尾の干潟には外国からも多くの人が訪れるでしょう。国指定の鳥獣保護区に指定され、その後、ラムサール条約に登録されるでしょう。ラムサール条約ってのは干潟の世界遺産のようなもの。そして、諫早湾のギロチンも撤去されるかもしれない。そして、豊かな宝の海が戻ってくる。それを引っ張って行くのが荒尾。
日本の風景を適切に表しているのは「花鳥風月」
鳥インフルエンザ。ニワトリが殺処分されている。でも、野鳥に関しては心配していない。出水市に、世界の7割のナベヅル、マナヅルが来ている。ということは病気が広がると種の絶滅につながる。そこで、出水のツルを分散させようと取り組んでいるが中々上手くいかない。当初、2羽が鳥インフルエンザで死んだ。でも、その後、フラフラしていたツルが治っちゃった。野鳥はニワトリと違う。野鳥は強い。どうぞ野鳥を悪者にしないでください。
鳥インフルエンザで、幼稚園の保護者が幼稚園の軒下のツバメの巣を棒で叩き壊し出した。こんなに悲しいことはない。
日本には里山という文化があるじゃないですか。COP10でもサトヤマイニシアチブが採択された。日本人ってどういう生き物か。2000年前から里山と共に行きて来た。日本の風景。
「確かな未来は懐かしい風景の中にある。」
金や権力で作った風景ではない。
「確かな未来」って何か。子ども達が健やかに育って行くこと。
この日本の懐かしい風景を凝縮したような有明海。有明海を汚すようなこと、そこで暮らす生き物を苦しめることは許されない。有明海が再生するにはまだ時間がるかかるかもしれない。
コウノトリを復活させた経験。農薬をやめ、有機農業に取り組み、冬でも田んぼに水を張った。
じゃあ、コウノトリを復活させた取り組みって経済に反するのか。そんなことはない、米の収穫量は2割程度減ったが2倍の値段で売れている。
干潟を大切にすることと経済は共鳴する。荒尾には金持ちばかりになる。

事例報告1
「有明元気づくり」
堤防壁画やバードウオッチング
事例報告2
「日本野鳥の会熊本県支部」
荒尾海岸は、ラムサール条約潜在登録地に指定されている。
子ども達に伝えたい。このすばらしい「ふるさとの海」を
2011.1 090.jpg

柳生会長のコメント
感動しています。荒尾の干潟は大変なことになるかもね。荒尾の応援団長になりたい。
子ども達が遊び、すぐそばで鳥がいる干潟。家庭や町内でそういったことができていたのが日本の風景。

映画「WATARIDORI」上映
posted by 後藤富和 at 13:17 | TrackBack(0) | 有明海

NHKスペシャル

先週土曜日に放送されたNHKスペシャル「清算の行方 〜諫早湾干拓事業の軌跡〜」、ご覧になられた方も多かったと思います。

諫早湾の干拓をめぐる59年に及ぶ長い歴史と現在の課題が分かりやすくまとめられていたと思います。

放送の中で、私が開門反対派の方と対話している場面が映りました。この場面は、1週間前1月23日の出来事です。
諫早市役所前に集まったおよそ250人位の開門に反対する人たちの真ん中で、ハンドマイクで話し合いを求めました。開門しても防災にも農業にも影響が出ないこと、農業と漁業が両立できることを理論的に説明したかったのです。
しかし、彼らの反応は、話し合いの拒絶でした。
翌日の新聞の見出しは確か
「話し合おう」「魚と人間とどっちが大切か」
だったと記憶しています。
「話し合おう」と言ったのは私です。
それに対して、開門に反対する人達から「話し合いやらできるか!魚と人間とどっちが大事か分からんとか!」等の怒声が飛びました。
最後には必ず「命をかけて」とか「死んでも反対する」と言ったものでした。
このような発言をしている人達の多くが現地で農業をしている当事者ではなく、諫早市の市議会議員や長崎の県議会議員、自民党国会議員でした。少なくとも、こういった議員さんは、命はかかっていません。
議員さんたちではなく、現地の農業者の方と冷静な話し合いができればと願っております。

「命をかけて開門反対」と叫んでいる議員さんたちは、当然、三権分立を知っていますし、確定判決を守らなければならないこと、つまりどんなに政治の場で反対しても3年以内には判決に従って開門しなきゃいけないことは十分に分かっているはずです。
市民の方が誤解されているとすれば、今回の開門の決断は菅総理の政治判断で開門が決まったのではなく、あくまでも裁判所の司法判断が確定したという点です。
ですから、総理が変わろうが、民主党政権が倒れようが、そんなことは関係なしに3年以内には水門は開きます。ここが八ツ場ダム中止の政治決断等と異なるところです。

ですから、議員さん達がやるべきは、開門によって影響を受けるのではないかと不安をいだいている人達の不安を取り除くことです。これが本来の政治家の役割です。
諫早市役所前で「死んでも開門反対」「命をかけて開門阻止」と叫んでも市民の不安を煽るだけの結果となってしまいます。

話が脱線しましたが、「魚と人間とどっちが大切か」との問いかけはそもそも議論の土台を間違っていると思います。
「魚と人間とどっちが大切か」と問われれば、当然「人間」です。
当たり前のことです。
仮に「魚を獲って生活している漁民と、野菜を作って生活している農民のどっちが大切か」と問われたならば、私たちは「どっちも大事」と答えます。
ですから、農業も漁業も大事、両者が発展する道を提案しているのです。
こういった話し合いをしたいのです。

もう一ついうと、農業と漁業のどっちも大事だったら、どっちを助けるかと問われれば、
「今、助ける必要がある方を助けます」と答えます。
18年間連続で休漁ないしは不漁に追い込まれている漁業者の被害は現実化しており、自殺者が後を絶たない深刻な状態です。
他方、農業者の訴えは、開門したら塩害が起こるかもしれないといった不安です。現実の被害は今は発生していません。これから生じるかもしれないという被害に対する不安です。
それならば、現実の被害が発生する前に対策をとって不安を取り除けば、被害は未然に防ぐことが可能となります。

一方を立てれば他方が犠牲になるという関係ではないはずなんです。
農業と漁業は両立できる、防災も両立できる。そして、それが経済的にも諫早市の発展につながる。こういった話を彼らとしたいと思っています。
その橋渡しこそ、本来は、長崎県知事や諫早市議らがやるべき任務だと思います。
posted by 後藤富和 at 13:02 | TrackBack(0) | 有明海

2011年01月11日

【ご案内】防災学習講演会

防災学習講演会
「諫早湾の排水門を開門して、防災と農業は大丈夫でしょうか?」
講師 羽生洋三(有明海漁民・市民ネットワーク事務局・調査研究担当)
日時 1月22日(土)13:30〜16:00
場所 諫早市社会福祉会館(新道町)


 福岡高裁判決が確定し、国は開門調査に向けて検討を始めていると言われています。しかし地元諫早では、開門したら防災効果がなくなり農業にも被害が出るのではと不安を漏らす市民もいます。実際はどうなんでしょうか。
 潮受け堤防完成2年後の1999年7月23日、諫早は1時間101ミリの記録的豪雨に見舞われ、市内全域9万4千人に避難勧告が出されました。すでに完成していた潮受け堤防と調整池は、この時は役に立ちませんでした。
(注)1997年4月24日、諫早湾閉め切り・堤防設置

みんなで話し合いましょう
*潮受け堤防と調整池で、洪水は防げる?
*開門したら防災機能はなくなる?
*開門したら集中豪雨時に後背地(森山、小野など)の湛水が長引く?
*開門したら干拓農業が塩害を被る?
*開門したら干拓地と後背地の農業用水はどうする?
*開門対策には膨大な費用がかかる?

主催 よみがえれ!有明海訴訟を支援する長崎の会
   諫早湾干拓開門調査を求める諫早市民の会
   諫早湾の干潟を守る諫早地区共同センター
posted by 後藤富和 at 16:13 | TrackBack(0) | 有明海

2010年12月31日

目指すは諫早開門による農・漁共存

朝日新聞(2010年12月28日)に諫早開門に関するかなり正確な記事が掲載されていました。

開門に反対している人たちは、
・開門に伴う早い流速による底泥のまき上げ
・農業用水
・開門に必要な巨費
を挙げますが、この記事では、そのいずれもが簡単に解決できるものであると解説しています。
これを読むだけで、今の諫早湾を取り巻く論点すべてに回答することができます。

私たち弁護団が目指すのは、開門による農業・漁業の共存です。
そして、それは、この記事にある様に実現できるものなんです。

2010.12 120.jpg

2010.12 122.jpg

「諫早開門 農・漁共存策は」

■泥のまき上げ:□潮流抑え回避
■農業池に海水:□新水源を確保

 諫早湾干拓事業(長崎県)をめぐり長期開門へ向けた動きが始まっている。政府の来年度予算案には開門の経費が計上され、27日は関係省庁の副大臣会議が開かれた。開門による有明海の再生と地域の暮らしが共存するために、何が必要か。潮流対策、農業用水、費用という課題を整理した。(今村健二)
 
 開門への反発は、水門周辺の漁民の一部と、干拓地の農家の間で特に強い。「開門に伴う潮の流れで海底の泥がまき上げられ、水門近くの漁に打撃を与える」「調整池の淡水が海水になり、農業用水に使えなくなる」と言う。
 ■ ■
 一方、国を訴えて勝訴した開門訴訟の原告と弁護団は、「私たちの主張する開門は、農業も漁業も共存できる」と主張する。
 「共存できる開門」とは「潜(もぐ)り開門」を指す。2002年に国が実施した約2カ月間の短期開門で得た観測データをもとに、九州大の経塚雄策教授(海洋環境工学)がこの方法をシミュレーションした。
 最大6メートルの干満差のある有明海の潮流は、最速で毎秒3メートル超となる。だが、このデータを経塚教授が分析したところ、泥のまき上げが起きたのは、潮流が毎秒1.6メートルを超えた時だった。干満差の最も小さい時は、水門を全開にしても潮流はこの速さを超えない。干満差の最も大きい大潮では、水門を全開すれば毎秒3メートルを超えるが、上下90センチ程度の開け方にすれば同1.6メートル以内に抑えられるという。
 経塚教授は「影響を小さくする開け方はいくらでも検討できる」と、ていねいな県境の必要性を説く。
 ■ ■
 では、農業用水の確保はどうか。
 干拓事業の計画では、調整池からの農業用水の利用量を年330万トンと見込んでいた。だが、農林水産省によると、実際は08年度で約20万トン、09年度で約40万トンにとどまっているという。
 00年に中止となった中海干拓事業(島根、鳥取両県)は当初、海水混じりの湖を淡水化して農業用水を確保する計画だった。だが、淡水化を中止しても、すでに完成した四つの干拓地の農業用水は、用水路やため池など既存の水源で対応できている。
 開門を求めてきた原告らは、川の水の利用や新たなため池の設置等の方策を挙げて「諫早湾干拓でも、農業用水は問題ない」と主張する。
 ■ ■
 開門には630億円の巨費が必要だ、と農水省は言う。
 だが、このうち420億円は、潮流による泥のまき上げへの対策だ。「潜り開門」でまき上げが抑えられるとすれば、開門費用は大幅に減る。
 630億円に農業用水の代替水源確保は含まれていないが、農地が4カ所に点在する中海干拓でも代替水源に要した費用は、1カ所30億円で計120億円。諫早湾干拓は、農地が点在していない分、費用を抑えられる可能性が高い。
 閉め続けることが、あらたな支出増を生む可能性もある。
 湾を閉め切った岡山県の児島湾干拓(岡山県)は、児島湖の水質悪化に悩まされ続けている。下水道整備等を進めるが、かかった費用は24年間で約6千億円にのぼる。
 諫早湾の調整池も、水質が悪化したままだ。下水道などの整備を進めるが、今後、どこまで費用をかければ改善できるか、現時点では不明だ。
posted by 後藤富和 at 13:38 | TrackBack(0) | 有明海

2010年12月22日

「開門」の意味

福岡高裁開門判決が確定しましたが、長崎県知事らは、諫早湾干拓潮受堤防を開門すると被害が出るかのような主張を繰り返しています。
ただ、長崎県知事らは、大潮の満潮時に一気に水門を全開するような形での開門。つまり、あえて潮位差がある時をねらって、しかも一気に全開し、大量の海水が調整池に流れ込むような「わざと被害が出かねない」ような特殊な開門を想定しているとしか思えません。(ただ、そのような方法での開門であっても被害が出るとは思えません)。

裁判を通じて、漁業者たちが主張してきた開門方法は、上記のような方法ではなく、一番リスクが少ない方法(かつ、特段の対策工事も必要ない)での開門です。つまり、潮位差がない時をねらって、水門の底部だけを少し開けることで徐々に調整池に海水を導入します(もぐり開門)。このような短期開門調査レベルの開門を行いながらデータを分析し、徐々に開門の幅を広げていくという開門方法です。もぐり開門の手法による段階的開門に順応的管理の考えを取り入れるというものです。

この「開門」について、大串博志衆議院議員がブログで冷静かつ適切な主張をしていましたので、以下に引用します。

http://blog.livedoor.jp/hiroshi_fromsaga/archives/52104650.html


昨日20日、諫早湾干拓事業に関する福岡高裁の開門判決に対する上告期限が過ぎました。



国は上告せず。3年猶予ののちに5年間開門という判決が確定したわけです。今後は長崎を含めた関係各般との、具体的な開門方法についての議論が鍵になります。



「5年間『開門』」という判決内容から、判決で求められているのは「常時開門」と解釈し、もっと言うと、一気にドッと開けるかのごとく解釈して心配する向きがありますが、この点について解説を加えておきたいと思います。



確かに判決が確定しました。では判決に示された開門とはどのようなものか。これを左右するのは実質的には勝訴側たる原告側の主張です。なぜなら、「判決が示した開門方法と違うじゃないか」ということで、「間接執行」という形で、裁判所に申し立てする権利を持つのは原告だからです。原告が異議を申し立てなければ、裁判所が勝手に「開門方法が違う」と言ってくることはありません。



一方原告側は、裁判の中でも、一貫して、開門方法については一気にドッと開けるのではなく、被害等が出ないように確認しながら段階的に開ける、「段階的開門」でよいのだということを主張してきました。また、原告側は、開門方法については関係者間で柔軟に議論すべきだという立場であることを明確にしています。



ですから、確定した判決を実行するには、段階的開門で十分であり、かつ具体的な開門方法は関係者間で十分議論し柔軟に考えられるのです。



この事実を基礎に、今後前向きな議論が進んでいくことを期待したいと思います
posted by 後藤富和 at 10:14 | TrackBack(0) | 有明海

2010年12月18日

諫早湾開門に関する友人からの質問

友人から、諫早湾干拓問題について、干拓農民はどうなるかという質問をいただいたので、回答します。

結論から言うと、潮受堤防の開門は、干拓農民にとっても良い結果をもたらします。開門によって漁業だけでなく農業も良くなります。以下、詳しく述べます。

まず、諫早湾干拓事業が、有明海の他の地域で行われている干拓と根本的に異なるのは、他の干拓が地先干拓(ガタが堆積した部分を乾陸化する)であるのに対して、諫早湾干拓事業は、ガタが堆積した部分ではなく、先に海を堤防で閉め切って、その内部の水位を調整して干拓地と調整池を作るという複式干拓の方式を取っていることです。イメージ的にいうと、地先干拓が髪や爪が伸びたから伸びた部分を切るような感じなのに対し、複式干拓は健康な人の腎臓と子宮を切り取ってしまうような感じです。

また、よく誤解されているのは、今、水門開放が問題になっていますが、水門自体は、毎日のように開放されています。というのも水門を閉じたままでは、堤防内部の調整池に水がたまりすぎてしまうので、干潮時に調整池に貯まった水を有明海に排水するために水門を開けます。しかし、逆に海の水を調整池に入れる形での水門開放はなされていません。つまり、一方通行の開門だけがやられています。今、問題になっているのは、一方通行ではなく、調整池の水を、有明海の海水を相互にやり取りする双方向での開門です。

 次に、諫早湾干拓の歴史をおさらいします。
1952年 戦後の食糧不足を解決するために、諫早湾全体を締め切って水田にする長崎大干拓構想発表
1957年 諫早市内で大水害発生(500名以上が犠牲になる)
1970年 漁業者らの大反対が続き、米余りから水田開発の必要性もなくなり、長崎大干拓構想断念。
同年    長崎県南部総合開発(南総)と名前を変え、干拓計画が始まる。
1982年 減反政策で水田を作れず、かつ漁業者の大反対も続き南総断念。
同年    規模を縮小し、諫早湾干拓事業と名前を変え、干拓計画が始まる。
1989年 諫早湾干拓事業着工。直後から、諫早湾沿岸で貝類が死滅する等の漁業被害発生。
1992年 有明海特産の二枚貝「タイラギ」の成育が確認できず、諫早湾内でタイラギの休漁状態が続く(以後、現在まで、諫早湾内漁業では、タイラギの休漁が現在まで18年間続く)。
1997年 全長7キロの潮受堤防締め切り(通称「ギロチン」)。その直後から、諫早湾内だけでなく佐賀県などでも魚介類の激減が始まる。有明海全域で赤潮が発生するようになる。弁護士会や研究者、環境保護団体らがギロチンに抗議。
2000年 有明海全域でノリの色落ちが始まり。諫早湾の対岸の福岡県や熊本県でも大規模な漁業被害が広がる。これ以降、有明海全域の環境が激変し(有明海異変)、漁業は大打撃を受け続け、沿岸の漁業者の廃業や自殺、心中が相次ぎ社会問題となる。
2001年 農水省は、有明海異変の原因を探るためにノリ不作検討委員会(通称ノリ第三者委員会)を立ち上げる。有明海異変を目の当たりにした谷津農相が水門を開けると政治決断。その直後、農水官僚が大臣発言を取り消す。民主党の菅直人氏らが有明海の調査をはじめ、事業の中止を政府に申し入れる。有明海の漁業者、全国の市民、研究者、弁護士などが事業中止を訴え続ける。ノリ第三者委員会が、短期・中期・長期に水門をあけて有明海異変の原因を調査するよう政府に提言する。
2002年 農水省は事業の費要対効果が1を下回ることを発表(公共事業は事業の効果が投資額を上回ることが必要)。農水省は短期開門調査を実施するも20日間で終了。よみがえれ!有明訴訟提訴。
2003年 農水省はノリ第三者委員会の提言を検証するための第三者委員会(中長期開門長検討会議)を立ち上げる。中長期開門調査検討委員会は、中長期開門調査の必要性について統一の結論を出すことができず、開門必要、不要の両論を併記した報告書をまとめる。
2004年 亀井農相が、中長期開門調査見送りを発表。佐賀地方裁判所は、漁業者の訴えを認め、国に工事中止を命じる。以後8カ月間、工事は中断。
2006年 研究者らの調査で費用対効果が0.19となること(1の費用を投下して0.19の効果しかないという意味)が明らかとなる。
2007年 工事完成。しかし、入植者が集まらず、苦肉の策として2533億円を投入して作った干拓地を長崎県の外郭団体である長崎県農業振興公社に53億円で売却。この53億円は、長崎県民が100年間かかって税金で返済する計画(有明弁護団等の追及で、長崎県は、返済期間を約70年に改める)。長崎県公社は干拓農地を格安でリースに出すことにする。
2008年 41農業経営体が5年間のリースで干拓地で農業をはじめる。この営農者の中に、金子長崎県知事や谷川農水政務官(自民)の親族企業等が含まれていることが判明し問題となる。調整池の水質が環境基準の7倍を超え、青酸カリの約50倍の急性毒性を有するミクロシスチンが蔓延したまま、農業用水としての利用が開始される(3度に渡る水質浄化5カ年計画によっても1度も水質浄化は達成できていない)。諫早湾干拓農地ではタマネギ1キロを収穫するのに1万5000円のコストがかかるとして週刊誌等で批判(通常は1キロ300円程度)。6月、佐賀地方裁判所が国に対し3年以内に5年間水門開放を命じる。全国から開門の声が湧きあがり、有明海沿岸の佐賀、福岡、熊本の各県知事、県議会からも開門要求、2人の農水副大臣も開門要求。控訴権限を持つ鳩山邦夫法相も開門すべきとして控訴に難色を示す。若林農相と鳩山法相が協議し、開門することを条件として控訴を認める。しかし、この若林農相と鳩山法相の密約は、農水官僚によって改ざんされ、「開門する」ではなくて、開門するかどうかを決めるアセスメントをし、仮にアセスで開門相当の結論が出ても長崎県知事の同意がなければ開門しないと書き換えられる。
2010年12月 福岡高裁は、国に対して3年以内に5年間の開門を命じる。菅直人総理が福岡高裁判決を受け入れ開門する政治決断。

質問1 諫早干拓の営農者は本当に40余軒のみですか。
答え  41戸(経営体)です。

質問2 営農者は全員法人ですか。
答え  いいえ。法人16、個人25と言われています。ただ、816haの干拓地に41経営体ですから、1戸(経営体)あたり平均20ha(東京ドーム4個分)の農地となります(個人平均7.4ha、法人平均30ha)。長崎県では通常の農家の平均面積が1.2haですから、個人平均でみても、通常の約6倍の面積となります。ちなみにリース料は10aあたり年間1万2000〜1万5000円と言われています。

質問3 漁民から農民に転じた人はいないのですか。
答え  います。諫早干拓が始まり、漁業被害が発生した時、漁業者の対応は大きく二つに分かれました。一つは、歯を食いしばって漁業を続けようという人。もう一つは、漁業をやめて諫早湾干拓事業で利益を上げようとする人です。この干拓事業で利益を上げようとした人たちは建設会社を設立し、干拓事業の下請け工事を請け負いました。そして、その建設会社も干拓地のリースを受けています。

質問4 40余軒の農家(経営体)をなぜ保護するのか。
答え  そもそも、干拓地は畑作には適さないとされています。というのも、もともと海底だったところですから塩分が抜けませんし、海抜ゼロメートル以下ですから排水不良の問題が必ずおきます。ですので、干拓地は基本的に水田としてしか利用できません。例外的に野菜でもレンコンのような泥の中で栽培する場合もあります。しかし、わが国で米余りが生じ減反政策に転じた後、あらたに水田を作ることができなくなりました。水田を作る必要がないのだから干拓の必要はなくなったのですが、諫早湾の場合は、それでも干拓を強行するために、目的を、米作から畑作に変え、防災目的も付け加えて干拓が続けられました。ですので、諫早湾干拓地での営農(畑作)はまともにやっていたのでは成功するはずはありません。他の干拓地のように、そこで土地を購入し、自費で資材を投入したりして営農したのでは成功はできません。でも、諫早干拓地での営農が失敗すれば、そもそもこの事業がおかしかったのではないかとの非難が出るでしょう。そこで、農水省、長崎県は絶対に干拓地での営農を成功させなければならないのです。そのため、農水省と長崎県は、干拓地を売却ではなくリース方式にすることにし、リース料も格安に設定し、さらに、多額の補助金を投入してでも、干拓地での営農が成功しているという形を作りたかったのです。

では、水門開放がこれらの営農者にどのような影響を与えるかについて述べます。

まず、農業用水を調整池に頼っている現状の問題点ですが、厳密に言うと、干拓地の農業用水の取水口は調整池ではなく調整池に注ぐ本明川にあります。ただ、調整池の水が本明川に遡上しており、水質は調整池と取水口とであまり変わりません。また、畑作は水田と異なり基本的に人為的な水やりはそこまで必要ありません。せいぜいハウス栽培程度です。ですので、816haの干拓地に対して2600haの調整池というのは明らかに過大なものです。もし、畑作で畑地の3倍以上の池が必要だとすれば、日本中がため池だらけになってしまいます。
そして、調整池の水質はいままで一度も農業用水としての環境基準を満たしたことはありません。農水省は営農開始するまでには水質を浄化すると約束していましたが、結果的には浄化できず、環境基準をみたさないまま農業用水として利用させています。私たちが干拓地に行って営農者と意見交換した際、営農者、特にプロ意識の高い営農者は、「あんな汚い水を野菜にかけたら野菜が腐る」といって、調整池の水を使わずに、井戸を掘って地下水を使っていました。
さらに問題は、調整池に青酸カリの50倍の毒性を持つミクロシスチンが含まれたアオコが蔓延していることです。海外では死亡例が多数報告されています。熊本の大学教授の調査によれば、ミクロシスチンは葉からも吸収されるので、野菜栽培に絶対に使ってはいけないし、皮膚からも吸収されるので調整池の水を素手で触ることもやめるべきとして、農水省、長崎県に対して「非常事態宣言」を出して、調整池の水の使用をやめさせるべきと要請しています。これに対して、長崎県の回答は、「まだ被害者(死亡者)が出ていないので、対策の必要ない」と言うものです。教授曰く、これでは諫早湾周辺で近い将来、第二の水俣病が起こると警鐘を鳴らし続けています。
このような理由から、今すぐにでも調整池の水の使用をやめるべきです。諫早産の野菜を食べて死亡者が出てからでは取り返しがつかないことになります。
では、ミクロシスチンを駆除するためにはどうすればよいかですが、ミクロシスチンは海水の中では生存できません。ですので、排水門を開けて調整池に海水を導入するしかありません。
そうなると、調整池が海水化するので、農業用水としては利用できなくなります。
しかし、そもそも、816haの畑に対して2600haの水は必要ありませんので、調整池に頼らない農業用水を準備する必要があります。
弁護団では、これまで日本各地の干拓地や韓国の干拓地等を何か所も訪問し調査を行い、その結果、調整池に頼らない農業用水確保のプランをずいぶんと前から農水省と長崎県に提案してきました。例えば、熊本市では、水道水は地下水で賄い、農業用水は下水処理水(飲めるほど浄化されています)を利用しています。諫早市では熊本市よりもさらに高度の下水処理を行っていますが、今は、この高度処理した水を無駄に垂れ流しています。これを使うだけでも諫早干拓地での営農が可能になります。
しかし、農水省と長崎県は、それを認めると、調整池の必要性自体の否定につながるので、代替水源確保の検討を怠ってきました。その結果、今、営農者の皆さんが、水門が開いたら農業ができないとパニックになってしまっているのです。つまり、営農者のあの怒りは本当は漁業者に対して向かうべきものではなく、営農者をも騙し続けてきた農水省と長崎県に向かうべきものなんです。
 ですので、開門することは、青酸カリの50倍の毒性で汚染された調整池の水を使わされることがなくなり農業者にとっても良いことになります。しかし、営農者はこのような事実を知らされていません。

 次の問題として、営農者は、開門によって調整池が海水化されたら塩害(塩水が飛んできて畑の作物に影響が出る。地下から塩水が浸透してくる)が生じることを恐れていますが、これは、全く心配がありません。本当に塩害が起こるのであれば、全国各地の海岸沿いの地域では農業ができなくなります。例えば、香椎や和白では絶対に農業はできないです。そうでないと、博多湾を締め切って淡水化しなければならなくなります。また、佐賀市は有明海に面しているのに塩害は報告されていません。つまり、塩害は、水門開放ができない理由が本当はないことを見破られた農水省が、苦肉の策として最近になって持ち出してきたものです。現に、これまで、塩害については、農水省もまったく触れてきませんでした。また、科学的に言っても、諫早湾干拓地の前面部分には数キロに及ぶ乾陸化した葦原が広がっており、また、干拓地の先端には立派な前面堤防があり、さらに、その内側に潮遊池を堀のように張り巡らしていますので、そのすべてが緩衝地帯となって、農地に塩害が生じる恐れは理論的にも考えにくいと言われています。また、江戸時代から先進的に海岸沿いでの営農を行って来た佐賀県が、これまでのノウハウを長崎県に伝えると言ってくれています。

 このように営農者が抱えている不安は、農業用水が確保できなくなる点と塩害が生じるという点ですが、このいずれも、上記のように事実を知らされていないために本来は不安に感じることがないことを不安に感じさせられているというだけの杞憂です。
 しかも、ミクロシスチンの害が広く国民の知られる前に調整池の水質を浄化することは営農者のためにもなります。

 諫早湾干拓事業に諫早大水害を防ぐような防災効果があると未だに信じている人がいるかもしれませんが、諫早湾干拓事業に防災効果がないことは農水省自体が明確に認めていますし、一昨年、農水省の担当者が長崎県知事と諫早市長を訪問し、実は諫早干拓には諫早水害を防ぐ効果はありませんときちんと説明をしています。ただ、この時の諫早市長のコメントは「それでも、諫早市民は、諫早干拓があることで、枕を高くして眠ることができているんです」というものでした。ちなみに、潮受堤防締め切り前後の後背地の冠水被害の回数は締め切り後3倍に激増しちゃっています。海を締め切って雨水の逃げ場所を塞いでいるんだから貯まった水が逆流して陸地が冠水するのは当たり前のことです。

 昨日は、漁業者と一緒に、国会に置いて国会議員に開門政治決断に関してお礼のあいさつ回りに行きましたが、その際、漁業者が最も訴えたいたのは、農業と漁業の両立のための開門でした。ひとり漁業だけが再生すればよいというのではなく、開門によって農業も良くするための方法で開門するように求めていました。私たちは干拓地での営農が始まる前から、農水省と長崎県に対して、排水不良対策と農業用水を別途確保するよう求めてきました。それは、この10数年間苦しめられてきた漁業者が、同じ思いを営農者にはさせたくないという気持ちが強いからです。
 漁業者を苦しめただけでなく、農業者をも騙し続けて、メンツを守ろうとする農水省と長崎県の姿勢には強い怒りを覚えます。
posted by 後藤富和 at 10:49 | TrackBack(0) | 有明海