昨日は、自由法曹団の会合で、二宮厚美先生(神戸大学教授)から「新自由主義からの脱出…21世紀日本の第三の転換期の課題」をテーマにお話を伺いました。
冒頭、次の安倍連立政権はせいぜい1年程度しか持たない短命政権になると。
以下は僕のメモ。
第一の転換:小泉構造改革。新自由主義。
伝統的な自民党政治は政官財癒着の利益誘導型政治。財源を握る官僚に族議員が群がり利益を誘導する。これにゼネコンも群がる。これは安定政権につながる。利益誘導政治と企業城下町における労働者の統合が戦後を支配してきた。
しかし、企業が多国籍化すると、これまでの公共事業に依存した土建国家は意味がない。従来の土建国家から競争国家へと転換を図ろうとしたのが小泉構造改革。
これはたちまち矛盾を露呈する。
小泉構造改革の結果、2005年頃から国内では格差貧困社会が広がる。
その一方で膨大な過剰資金が生まれる。この過剰資金が空回りし、バブルとなって投機を招く。経済停滞の中でのバブル。
安倍政権の敗北。
第二の転換:2009年の政権交代。
新自由主義からの脱出の第一歩。
しかし、短命政権。
消費税増税に見えるように、民主党政権が小泉構造改革路線に向かって逆行をはじめる。
菅政権はそこからの脱出を図ったが、野田政権で再び小泉構造改革路線に回帰。野田政権そのものは命を縮めた。新自由主義への回帰が墓穴を掘る。
昨日をもって民主党政権はもはや再び政権を握ることがないまでに壊滅した。
第三の転換
新自由主義的反動か、新福祉国家か。
次の総選挙で第三の転換の方向が決まる。ただし次期政権も短命に終わる。
消費税増税→経済成長の回復は絶望的。このような経済状況で14年の消費税増税強行は致命的。
原発の再稼動→脱原発の世論の中、次の政権が原発再稼動を強行するのは無理がある。
TPP→東北、北海道などの農村部ではTPP賛成などと主張すれば当選できない。JAはTPP断固反対。医師会もTPPに反対している。
安倍政権が単独政権を構成するのは無理。維新の会やみんなの党など、より過激な新自由主義政党と連立を組む。橋下、石原、渡辺。この3人はそれぞれでは力不足だが、この3人が合体して小泉となる。その結果、国民は地獄に落ちる。これが第三極結集の意味。
橋下人気は年明け早々に凋落する。
安倍自民党と第三極の連立政権はせいぜい1年しかもたない。
新自由主義=競争国家は、やればやる程、経済は安定しない、政治も安定しないという悪循環。
新自由主義に立脚する政権は安定しなくなる。
新自由主義経済は、規制を緩和し弱肉強食の競争社会になるので、貧困、格差が広がる。家計の所得と消費が落ち込む。1997年が国民の所得水準のピークで、それ以降ずっと落ち込んでいる。年収200万円以下のワーキングプア層が広がり、消費が萎縮する。したがって企業は商品の価格を上げることができない。人件費を抑えなけばならない。所得が落ちる。消費が冷え込む。この悪循環。
この冷え込んだ消費をどこかで補完するために、外需依存する。外需依存が進むと工場や技術までも海外に移転する。
外需がこれ以上依存できないとなれば、日本経済は破綻する。最近のシャープやパナソニックの動きはその意味。自動車産業にも出てくるだろう。
財界自身も見通し、戦略が持てなくなっている。
橋下の意向と財界の意向は噛み合っていない。
やらなければならないのは、不足する内需を補填すること。内需の空洞化を食い止めなければならない。
しかし、新自由主義は、消費税を上げるし、TPPにも参加するしで、内需の補填にはならない。
新自由主義では、経済を立て直すことができない。
財界が原発再稼動をを求めているのは、原発を海外に輸出するため。国内ではこれ以上原発を続けることができないことは彼ら自身がわかっている。ただ、海外に輸出するためには国内の原発が止まっていては都合が悪いから。
世論としては福祉国家の流れになっているが、政治では新自由主義の反動的脱出路線。次の選挙では新自由主義路線となるが、次期政権は短命に終わる。その次に福祉国会の道に舵を取れるかどうか。
今回の選挙の争点は明確
・脱原発
・TPP
・消費税増税
政策で誰に投票をするかを決めることができる。明確な政策選挙。