2013年7月6日に、藤田祐幸先生の講演を聴きに行きました。
テーマは、「原発とエネルギー、九州の私たちにできること」でした。
2011年の東日本大震災の際、津波・地震だけなら元に戻れた。
原発事故があったからこそ、元の世界に戻れない。
放射能は時間・空間を越えた問題である。
それなのに、事故からたった2年で原発の危険性を忘れて、むしろ新たな安全神話を作り出し、国は原発再稼動をしようとしている。
国や電力会社は、原発の廃棄燃料を10万年後まで責任を持つと言っているが、今から10万年前はネアンデルタール人の時代。責任を持てるはずが無い。
第二次世界大戦で原爆の被害があった日本。戦後60年以上経っても、その被害の残酷さを風化させないために毎年平和集会などをしているが、福島原発事故については正しい報道もされず、放射能被害が無いように装って、その被害を風化させようとしているように思える。
しかし、我々が忘れてはならない。
現在は、資源を使ってエネルギーを作り、社会に利用し、廃棄物しか残らない自滅的なサイクルになっている。
それでは、資源がなくなり、または環境が破壊され、資源が無くなれば文明は滅びてしまう。
これからは、自滅的から持続的なエネルギー利用へシフトチェンジすることが大事である。
今、この時代に生きる大人たちは、人類の子孫のために、原発をやめる選択をする必要がある。
日本の技術は世界的に見ても優秀で、原発に代わる発電技術も開発されている。当面のコストはかかるかもしれないが、それらは長い目で見れば取るに足らない問題であり、何より大事なことはこれ以上、放射能汚染地域を増やしてはならない。
それができる技術もあり、何より原発・放射能の危険性を良く知ることになった日本が率先してやるべきことである。
福島原発事故後、九州は日本の中でも放射能によって汚染されていない貴重な場所となっている。
九州の私たちにできることは、非汚染地域である九州をこれ以上放射能によって汚染されないよう、守っていくことである。
この講演を聴いて、私はハッとしました。
今、大橋法律事務所では九州玄海訴訟に取り組み、玄海原発の再稼動を止めるための活動をしています。
また、よみがえれ!有明訴訟では、諫早干拓によって壊された自然を取り戻そうとしています。
まったく別の取り組みだと思っていましたが、どちらの活動も私たちが安心して生活をするために、また、今後の日本の為に環境や自然を守ることは必要なことである、という目的が一緒であることに気付きました。
さらに、今の日本にとって九州の自然を守る事の重要性にも気付きました。
原発を再稼動しないと電気が足りない、電気料金が上がってしまうなど、目先の問題や不安に目を向けがちですが、私たちは福島原発事故で一度事故が起きてしまうと住む場所を奪われるだけではなく、より深刻な問題が起きる事を知り、気付いているはずです。間違いや失敗はあるとは思いますが、その問題を知り、気付いたなら、同じ失敗を繰り返さない努力は必要だと思います。
何が目的かを見失わない目と自分の頭で考える力を養いつつ、日々の生活や仕事を頑張ろうと改めて思いました。
事務局 T