2014年06月07日

よみがえれ!有明訴訟原告団・弁護団声明

混迷を演出するのではなく,万全の事前準備で早期の開門を

2014年6月6日
よみがえれ!有明訴訟原告団・弁護団

 本日,福岡高裁は,開門確定判決の間接強制に対する国の執行抗告を退けた。確定判決を履行しない場合の強制執行は司法の基本的な機能であり,佐賀地裁に続き福岡高裁は,三権分立の基本原理を国自らが破り捨てるという憲政史上前代未聞の暴挙に対して,断固とした回答を示した。
 この間,昨年11月の長崎地裁の開門阻止仮処分以来,国は,開門義務と非開門義務の2つの矛盾する義務のはざまで身動きがとれないかのごとく,混迷を演出してきた。6月4日の開門阻止仮処分に基づく間接強制後も,ますます身動きがとれなくなったかのように振る舞っている。
 しかしながら,そもそも形の上での義務の衝突を招いたのは国の責任である。開門阻止仮処分の手続のなかで,国は,開門確定判決の根拠になった諫早湾干拓事業と漁業被害の因果関係の判断を敵視して仮処分裁判所の判断の素材とすることを妨げた。一連の経過のなかで透けて見えるのは,開門確定判決があるにもかかわらず,何とか開門を回避したい,開門確定判決に従いたくないという,三権分立の基本原理さえも顧みない国の不遜な態度である。
 いま国に問われているのは,自らが招いた形の上での義務の衝突をすみやかに解消することである。
 確定判決による開門義務は,もはや争いようのない確定的義務である。他方,非開門義務は開門阻止仮処分にもとづくもので,仮処分自体確定したものでなく,また,仮処分は開門阻止訴訟による非開門義務の確定までの暫定的なものである。しかも,非開門義務を命じた仮処分は,事前準備なしの開門を前提としているのであって,開門による漁業被害の救済と,開門による農業,防災などへの悪影響の回避は,両立可能である。
 矛盾の解消は,悪影響の出ないようにしっかりした事前準備を行い,開門阻止仮処分の保全異議手続や開門阻止訴訟において開門にともなう悪影響が発生しないことをきちんと主張立証すること,開門に不安を抱く人々に対する説明責任を果たすことでしかありえない。
 今期,有明海のノリ養殖業は2000年暮れから2001年初頭の歴史的不作の再来に見舞われた。採貝,漁船漁業は,累積的な不漁のなかで,ますます深刻さの度会を増している。
 危機に立つ有明海漁業を救済し,宝の海を取り戻すために,農業,防災などへの不安を払拭する準備工事に1日も早く着手して開門すること,それこそが国の歴史的責務である。
posted by 後藤富和 at 11:23| 有明海