2014年04月20日

有明海の問題(解説)

有明海の問題が分かりにくくなっているので簡単に説明します。

1997年、諫早湾干拓事業によって諫早湾奥が締め切られました。締め切りと前後して有明海の環境は激変し甚大な漁業被害が発生し、多くの漁業者が自ら命を絶つこととなりました。
 2010年12月、福岡高裁は、国に対して、3年以内に排水門を開放するよう命じましたが、履行期限である2013年12月を経過しても国は排水門を開けませんでした。確定判決を国が履行しないという憲政史上あってはならない事態が生じています。
 今年4月11日、佐賀地裁は、国に対して、2か月以内に排水門を開放すること、及び2か月以内に開放しない場合は、漁民1人に1日あたり金1万円を払うよう命じました。確定判決を守らない国に対して裁判所が厳しい強制執行の判断を下したのです。
 国はこの佐賀地裁の間接強制に決定に対して不当にも抗告をしました。
 しかし、国がいたずらに時間を浪費している間にも漁業者たちの苦しみは続きます。
 今、国がやるべきことは、メンツにこだわることでも、開門に反対する長崎県知事の顔色を伺うことでもありません。開門をしても農業に悪影響が出ないことは農水省自身が一番良く知っているはずです。
国は、長崎県知事の意見を根拠に開門を先延ばしにするのではなく、諫早湾、有明海で生じている漁業被害に真摯に向き合い、被害の回復、そして違法状態の解消のために、すみやかに開門の実現に向けた対策工事に着手すべきです。
posted by 後藤富和 at 15:41| 有明海