−声明−
農・漁・防災共存の段階的開門で諍いに終止符を
2014年4月11日
よみがえれ!有明訴訟弁護団・原告団
本日,佐賀地裁は,開門阻止派の人々の非協力と反対行動を口実に却下を求めた国の意見を退け,福岡高裁開門確定判決の履行をサボタージュする国に対する間接強制を認めた。国が確定判決を履行しないなどという憲政史上前代未聞の不祥事を裁判所は厳しく断罪したのである。
2010年12月の福岡高裁開門判決後,わたしたちは,国に対し,被害を被った有明海漁民と,地域の人々の双方に謝罪することを求めた。潮受堤防締め切り以来長期間にわたって有明海漁民は被害に苦しんでいる。潮受堤防締め切りと被害との因果関係が認められた以上,加害者たる国が被害者たる漁民に謝罪するのは当然である。地域の人々に対して国は,本来あるべき防災対策を実施せず,その期待は干拓事業によってしか実現できないように欺いてきた。確定判決によって,潮受堤防締め切りによる防災効果は限定的であり,代替可能であるとされた以上,地域の人々に対して謝罪し,本来あるべき防災対策に着手することもまた,当然である。
しかるに国は,確定判決の主文には従うが,主文を導き出した確定判決の理由中の判断には従わないなどという不遜な態度に終始し,判決確定後も,潮受堤防締め切りと漁業被害との因果関係や不十分な防災効果について否定し続けた。従うと言う主文でさえも,全開門ではなく制限開門で十分などとねじ曲げて解釈し続けた。
今日の諍いは,こうした国の確定判決軽視の不遜な対応に根源がある。
国は,いまこそ,態度を改め,開門による漁業被害の軽減と科学的な開門調査の実施という有明海漁民の要求,農業用水の確保と防災の実現という農業者や地域の人々の要求の双方を,真摯に実現しなければならない。
わたしたちが求めるのは,農・漁・防災共存の開門である。本日の間接強制が認められたからと行って,わたしたちは農業用水等の手当もないままに,ただちに開門せよと求めているのではない。今回,直接強制によるまったなしの開門ではなく,国がサボタージュしている準備工事が直ちに実施されて,農・漁・防災共存の開門が実現されるよう,間接強制という手法を選択したのもそのためである。
わたしたちが再三にわたって指摘し続けたとおり,実績のある短期開門レベルの開門から開始し,順応的管理の手法を用いて,潮汐条件や排水門の開度を変えつつ,必要なデータを得ながら安全,安心の全開門を模索する開門方法を採用すれば,関係者の協議の課題も明確になり,実りある協議が可能になる。
有明海漁民の被害は,もはや極限に達している。1日も早い開門を,強く望んでやまない。
以上
2014年04月11日
農・漁・防災共存の段階的開門で諍いに終止符を
posted by 後藤富和 at 10:31| 有明海