2014年03月10日

よみがえれ!有明海〜国の怠慢

よみがえれ!有明訴訟弁護団の國嶋洋伸弁護士の弁論

1 私からは本訴準備書面1の第4「本件確定判決以降の事実経過の真相について」で述べた内容につき、国が当初から一貫して開門しないとの決断のもと、自ら「できない理由」を作り出しては、時間稼ぎを繰り返し、積極的なサボタージュを続けてきたことを、口頭で補足説明します。

2 我々弁護団は、本件確定判決以降、判決履行を求めて国との意見交換会を続けてきました。そこで明らかになったことは、国は判決履行のための選択をしなければならない局面で、いつも最も迂遠な道、あえて反発が強い方法を選ぶことにより、自ら「できない理由」を作り出して、時間稼ぎをしてきたということです。
具体例を挙げれば、
@本件確定判決直後、堤防の改修や排水ポンプ設置など、すぐにとりかかれる工事があったにもかかわらず、無用なアセスのために2年もの歳月をかけて、そのアセスが終わるまで何もしないことに決めました。
A最も重要なテーマである農業用水の代替案においては、当初、簡易なため池案ではなく、あえて地元の反発が最も強い地下水案を選びました。
B広報活動にあたっては、素早く広範囲の人に伝わる記者レクや新聞広告、パンフレット配布などではなく、あえて門前払いを食らうなど、効率の悪い戸別訪問を選びました。
C工事の着手については、わざわざ事前に時間と場所を開門反対派に通告する一方で、当然予想された実力阻止行動に対する何の準備もアイデアもないまま、すげなく追い返されることを繰り返しました。

3 このように枚挙にいとまがない国の時間稼ぎですが、準備書面1で述べたように、われわれ弁護団、原告団は、国との意見交換会が開催される都度、事前に警告し、事後にも抗議し、具体的な案を示して改善を迫ってきました。
しかし、われわれ弁護団、原告団がどれだけ道理を尽くして、具体的に分かりやすく事態打開のためのプランを提案しても、国は一向に耳を傾けようとはしませんでした。それどころか、自分たちのプランは明らかにせず、結果として当然のようにすべて失敗し、怒りや反発を生みだしてきました。
準備書面1では、国が自ら「できない理由」を作りだすもととなる、開門しない決断が交渉の中であらわれた象徴的なエピソードをいくつか上げています。
たとえば、国は農業用水代替案の中核である海水淡水化プラントの発注を既にストップしていたことを半年以上も隠し続けてきました。昨年12月16日の意見交換会で、我々は、昨年5月ころの段階で既にプラントの発注にストップがかけられていて、それ以降まったく製作にとりかかっていないことをはじめて知らされました。
履行期限ギリギリの段階まで、国は「やれることはやっているから大丈夫。」などと言っていましたが、我々弁護団、原告団をだまし続けていたことは明らかです。このことを見ても、国が当初から開門を実現する気がなかったことは明白です。
 また、九州農政局の事業調整室長が「(国が)開門する大十字架を背負った」と発言したことも明らかとなりました。イエスが民衆の身代わりとなって罪をかぶった故事にならい、耐え難い苦難を負わされることを「十字架を背負う」といいますが、「漁業にはほとんど影響がない」などと国に騙されて、深刻な被害を背負わされているのは有明海の漁民の方です。
 後になって国は発言を取り消しましたが、本音では自分たちが司法に罪をかぶせられた、不当な苦難を負わされた、と考えていることは疑いようがありません。
 
4 履行期限を過ぎた今もなお、月に2回のペースで国との意見交換会を続けています。国は、「話合いで事態を打開したいと言ってきたのに、間接強制をかけられたので仕方なく請求異議訴訟で争う。」などと述べています。
 しかし、国のいう「話合い」の実態は、国側は何ら具体的な方針も期限も示そうとしない一方で、我々が農漁共存を目指して具体的な提案をしても真剣に耳を傾けようとしない、そのような虚しいやりとりがこれまで幾度となく繰り返されてきました。何らかのきっかけがない限り、国の「できない理由」探しと時間稼ぎのための「話合い」が今後も続くであろうことは明らかです。
 国のいう、何ら具体的な中身のない「話合い」では解決できないことは、この判決確定後の3年間でも、何一つ事態が進展せず、むしろ開門反対派の反発を煽っただけであるという「結果」が如実に示しています。
 我々が国と意見交換を続けてきたのは紛争解決のためです。しかし、債務者である国の側には本当に紛争を解決するつもりがない以上、法のルールに従った間接強制によって、解決に向けて進みださなければならないことは当然です。
 裁判所には、本件の真相を正しく見究めて、公正な判断をされるよう求めます。
posted by 後藤富和 at 09:20| 有明海