2014年03月08日

よみがえれ!有明海〜島原市の漁民の思い

長崎県島原市の漁業者中田猶喜さんの意見陳述。

1 はじめに
  私は,1950年(昭和25年)1月4日,長崎県島原市で生まれました。
  私の家は,祖父の代から漁業を営んでおり,私自身,中学卒業後漁業者となって48年目になります。
  現在,島原漁協に所属しており,妻と二人で漁業を営んでおります。
  今回,請求異議という裁判手続で意見を述べさせていただきます。

2 開門しなかった国・農水省
  まずはじめに私が述べたいのは,なぜ,私がこの場所に立っているのか,立たなければならないのか,という疑問です。
  私は,平成22年12月の開門を認めた福岡高裁判決の原告です。この判決は確定しました。私は,これでようやく有明海再生への第一歩を踏み出せると思い,遅くとも開門期限の平成25年12月20日までには開門がなされると信じて,その日をまだかまだかと待ちわびていました。
  しかし,この期待は見事に裏切られました。
  裁判制度は国の制度ですので,判決が確定すれば国は判決を守ると考えるのが普通です。まさか,国が確定判決を守らないなど,考えもしませんでした。
  しかも,国は,自分の怠慢で開門をするための対策工事をせず,猶予期間の3年を無駄にしたのに,そのことを棚に上げ,福岡高裁判決の原告であった私たちに対し請求異議という裁判を起こしてきました。どうしても,国は,開門をしたくないのです。  

3 諫早湾干拓事業の失敗を認めたくない国
  では,なぜ,国・農水省は,開門をしたくないのでしょうか。
  それは,開門してしまえば,国・農水省がかたくなに否定してきた諫早湾干拓事業による漁業被害の発生が,潮流の回復などの漁場環境の好転,漁獲量の回復という形で証明されてしまうからです。そして,証明されてしまえば,もはや閉めきることはできません。
  このことは,とりもなおさず諫早湾干拓事業の失敗を意味します。だから,国・農水省は,開門しないことに一生懸命なのです。
  そして,開門が先延ばしされれば,それだけ漁場は悪化しますから,それだけ開門した時の漁場の回復にも時間がかかります。
  だからこそ,仮に開門することになっても,国・農水省は先延ばし先延ばしにしたいのです。

4 現状
  この先延ばしは,私たち漁業者にとっては,最悪の状態が続くことを意味します。
  今は,クチゾコの季節です。以前は,一潮で7日くらい漁に出ていましたが,今は一潮で2〜3日しか漁に出ません。というのも,漁に出ても網にクチゾコがかかっておらず,取れても10s,ダメな時には3〜4s位しか取れず,船の油代にも満たないからです。
  また,現在,南北排水門から,調整池の汚い淡水が大量に流されています。つい最近も,おそらく2月16日ころだと思いますが,このときも大量の排水がなされ,網が汚れて魚がかかりませんでした。調整池ある限り,有明海の漁船漁業者に未来はありません。
  現に,私が所属する島原漁協は,組合員の高齢化が進むとともに,毎年組合員が減っています。その根本的な理由は,諫早湾干拓事業によって,魚が捕れないからです。私は16歳で漁業を始めましたが,今は組合の若手といっても40歳代です。生活の基盤が成り立たない限り,つまり,有明海が良くなるという見込がない限り,若い漁業者は増えません。それには開門しかありません。
  
5 小手先の対策事業ではなく開門による有明海の再生を
  これまで,国は,開門をしない他の方法による対策事業を行ってきました。
  しかし,これらの対策事業はなんら効果がありません。小手先だけの対策事業では有明海の再生などできないのです。だからこそ,福岡高裁は,開門判決を下したのです。国は,請求異議など取り下げるべきです。
  有明海の再生には,開門しかありません。
posted by 後藤富和 at 13:42| 有明海