2010年03月09日

やんばる調査

3月7日〜8日、九州弁護士会連合会環境問題に関する連絡協議会の委員として、やんばる調査(現地調査、村役場・森林組合ヒアリング)に行ってきました。

やんばる(山原)とは、沖縄県北部、主に国頭村、大宜味村、東村に広がる亜熱帯の森林で、生物多様性の宝庫と言われています。

世界的にみても貴重な森林で、生物多様性COP10が名古屋で開かれる今年、国立公園化はもちろん、世界遺産登録の動きもあります。
しかし、地元の行政や森林組合、また、村民の間では、世界遺産などを歓迎する機運は起こっていません。

この森には、ヤンバルクイナやノグチゲラ、ヤンバルテナガコガネなどの希少な生物が生息していますが、絶滅危惧状態に追いやられています。

雨の中、レインウェアとトレッキングシューズで調査開始。
やんばる

森の中に入っていきます。
あやうく踏んでしまうところでした。
やんばる

やんばるの森は、ブロッコリーのように見えます。イタジイの木です。
やんばるの森の西側は米軍の演習場になっているため、伐採や開発がされておらず、豊かな森が広がっています。
やんばる

米軍演習林でない部分には、大規模な林道が網の目のように張り巡らせてあり、今も工事が進んでいます。
世界的潮流としては、森林生態系にインパクトを与えないような低インパクトな林道が求められており、例えば、日本でも、四万十式林道などの先進的取り組みがみられるようになりましたが、やんばるでは、従来型のアスファルトで綺麗に整備するやり方が貫かれています。林業するだけで何でこんな立派な道が必要なのかと問うと、地元の人たちも通勤その他で使うという説明でした。しかし、この日、朝から夕方まで林道を走りましたが、すれ違ったクルマは一台きりでした。
やんばる

こんな林道、ヤンバルクイナなどの野生生物にとっては生息域の分断に他なりません。

この林道開発現場の脇にあった看板。シュールすぎます。
やんばる

やんばるの森は戦後の沖縄復興時に無理な伐採がなされたため原生林ではなく、林相も貧弱と言われていますが、60年を経て、豊かな森と生態系が回復しています。
やんばる

やんばる

皆伐
やんばる

その区画全部の木を切り倒してしまう施業のことを皆伐というのに対し、その区画から伐採に適した材のみを選んで伐採することを択伐といいます。
世界的な潮流は、択伐です。そして、択伐によって生物多様性の保全と林業を両立させることで、FSCなどの森林認証を受け、それによって木材にブランド価値(プレミアム)をつけ高く販売し経済的にも潤うというのが流れです。

が、やんばるでは、すべて「皆伐」の手法が取られています。
そして、皆伐された材はどうなるかと言えば、ほとんど全てがオガクズにされます。
そうやって皆伐し、その後に植林をすることで補助金が下ります。

植林
やんばる

いたるところに「ヤンバルクイナ」注意の道路標識。
やんばる

マングースや野良猫がヤンバルクイナ減少の原因と言われていますが、一番の原因は生息地を皆伐したからではないでしょうか(素人でも分かりますよね)。

町はヤンバルクイナが生息している場所を柵で囲ってマングースや野良猫から守っています。この柵の内側には6羽のヤンバルクイナがいますが、野良猫などの脅威よりも、この6羽で子孫を残していけるのか(6羽だと生殖の可能性が極端に低く子孫を残せない、仮に子孫を残せたとしても遺伝子の多様性が保てず病気等に弱く全滅する恐れが高い)不安です。トキの二の舞にならなければよいのですが。

やんばるの森から海はすぐそばです。
やんばる

近年、皆伐によって山肌を裸地化したため赤土が川を通って海に流出し、それが原因でサンゴが死滅することが問題視されています。

やんばるらしいイタジイの森
やんばる

やんばる

やんばる

それが皆伐
やんばる

やんばる

やんばる

奇跡的に伐採を免れた樹齢約100年のイタジイ
やんばる

皆伐
やんばる

やんばる

やんばる

やんばる

亜熱帯の木漏れ日
やんばる

やんばる

斜面を削って林道を通します。
やんばる

ヤンバルクイナのひな等の小動物が側溝に落ちても上に戻れるように造られたスロープ。効果についてはいかがでしょうか?
やんばる


僕は、やんばるは世界遺産にふさわしいと思っています。
やんばる

ただ、今のような生態系に配慮しない林道開発や伐採がなされていれば登録はされないでしょう。
こんなことを続けていれば、やんばる生物多様性は近いうちに失われてしまう可能性があります。
むしろ、やんばるは、コスタリカのように生物多様性の保全をウリにして、エコツーリズムや、科学研究所や大学の研究所などを誘致するなどして、森を守ることで経済的にも成り立たせるという発想になると面白いと思うのですが。
posted by 後藤富和 at 00:55 | TrackBack(1) | 環境
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