2014年12月09日

【よみがえれ!有明海】農水省交渉

本日、長崎市で開催されたよみがえれ!有明訴訟原告団弁護団と農水省農村振興局・九州農政局との交渉を行いました。
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平方(佐賀・大浦):タイラギは今年も休漁。調整池からの排水でアサリも死んでしまう。農水省は漁民が死滅するのを待っているのではないか。
松本(長崎・有明):漁船漁業は壊滅状態。今は3日に1度しか船を出せない。数日前はたった1匹しか獲れなかった。締め切り以前は1日7〜8万円の水揚げをあげることもあった。今は全然ダメ。農水省はその原因を何と思っているのか。
篠塚(長崎・有明):調整池からの排水でノリは色落ちどころから芽そのものが流れてしまい、そもそも育たない。漁業収入を絶たれた。有明漁民は損ばかりしている。漁業が成り立たず地域も疲弊している。私たちは海でしか生きる道がない。もう行くところがない。
岩井(支援):熊本も長崎と同じ状態で、調整池からドロッとした水が流れてきて海苔の芽流れや、赤腐病、色落ちが起きている。佐賀では最高級ブランド「有明海一番」がはじめて出品できなかった。秋芽の段階で色落ち被害というのはこれまでなかった。佐賀県全体では14円7銭の値がついたが、大浦では7円20銭と半値にしかならなかった。しかも、これは値が付いたものだけ。福岡でも漁連が赤腐病を避けるため網を高吊りを指示しているため、海苔が伸びず船も出せない。
堀(弁護団):確定判決を守らないというのは、憲法違反。皆さんのような公務員を縛るのが立憲主義。皆さんも憲法を守ると誓約したはずだ。なぜ判決を守らない。今期のこの状況にどう対処するのか。
横井(農地資源課課長):資源量の供給が減少し、漁獲の減少になっている。特にタイラギやアサリなど二枚貝類の資源回復について来年度、予算化して取り組んでいく。漁船漁業については、全体的な資源回復を図っていくことが必要だろう。海苔については水温が下がらない中、張り込みの時期が遅れ、台風にも見舞われ、種付けが小潮とぶつかったなどの原因が考えられる。網の高吊りで病気の蔓延を防いでいる。そのため、海苔が育たない結果となっている。漁協の組合長などと話を聞いていきたい。
堀:そんな一般論じゃ納得できない。今、目の前にいる現場に出ている漁業者が口々に調整池からの排水の影響と言っているのに、なぜその声を聴かないのか。
松本:カニ漁場は泉水海(諫早湾)から外側に1-2km出たところ。シンバ(成長した放流稚蟹)を1日1匹見るかどうかというレベル。100把網を手繰って1匹見ただけ。
平方:夏を超えたアサリが10月に死んだ。1割位しか残っていない。今回は貧酸素が原因ではない。
篠塚:下げ潮に乗った排水が回り込んできて溜まってしまう。排水による濁りがとれず、網にもチョコレートのように付着している。粘着性があって水で洗ってもとれない。以前のプランクトンとは違う。今年は海苔の種網ができなかった漁師もいる。農業でいうと苗がない状態。これでどうやって生活するのか。平成23年から毎年こうやった芽流れに見舞われており、4年連続となると資金が底をつく。調整池からの排水がある限り、良くならない。あなた方は、漁民たちが死んでいくのを待っているんじゃないか。多くの漁業者は戦う気力すら失っている。諫早干拓は誰にメリットがあるのか。
瀧戸:うちの排水(調整池からの排水)が見えますか。
篠塚:見えますよ。大量排水したのがすぐわかる。泥みたいなものが沈殿して網に付いてとれなくなる。私たちのところは大きな川がない。諫早湾調整池からの排水しかない。私たちは諫干川と言っている。
堀:この漁民の生の声をどう反映するのか。
岩井:昨年、水産庁は調査に来たが今年はもっと悪くなっている。もう一度調査に来るべき。そして融資の問題。
横井:水産庁に伝えておきます。
堀:水産庁は任せにせず、皆さんも漁民の声を聞いてください。漁民が言っている被害は、調整池に海水を導入すれば解決する問題。調整池の水質保全のために、あなた方は第1期に180億円、第2期で147億かけている。このかん下水道整備は進んだが水質は改善していない。平成20年に、九州農政局は長崎県と調整池の水質保全について協定を結んでいる。「九州農政局は、潮受堤防、両排水門設置者として、調整池水質について問題が発生した場合、調整池からの排水に関する海域の問題が生じた場合は適切に対応し、水質保全目標が達成されるよう責任をもって主体的に取り組」む。なぜ、第3期の水質保全対策をしない。
横井:計画策定主体は長崎県。その中で農水省も協力するというスキームになっている。次の計画を策定しようという段階で開門判決が確定したため計画の策定が停滞した状態になっている。
堀:停滞せずに調整池の水質を良くする方策がないと漁民は困るんですよ。だったら開門しかない。
高橋(熊本保健科学大学教授):漁場の泥からもミクロシスチンが検出されている。調整池から来ているとう漁民の声は正しいですよ。農水省に調べさせたら定量下限値未満となった。やたらに高い定量下限値を設定し、検出されないような調査方法をとっている。私たちの調査で1μg/kg出ているとして農水省に調査を求めたのに、なぜ定量下限値をそれより大きい2μg/kgに設定するのか。
清野(九州農政局):業者が適正にやっている。なんども確認したが、3つの要素から定量下限値を決めた。
高橋:そんなの機械だけで決まるものではない。塩をひとつまみ測るのに体重計を使うようなものじゃないか。どういう計算をしたのか資料を出してください。論文で出せばリジェクト(突き返し)食らうレベル。昨年、大臣にデータを示して調整池からの排水を止めないと大変なことになると言った。この1年間で青酸カリの数十倍〜100倍の急性毒性を持つ物質が600kgも排出された。これを問題ないと考えているのか。
清野:長崎県が設定した水質目標の達成に向けて私たちも努力する。アオコが発生した場合は回収する。流域からチッソやリンが調整池に入り込まないように長崎県や地元にお願いしている。
堀:海域からこんな毒が出ているということを深刻に受け止めなさい。漁民がようやく獲った魚介類から汚染物質が出るかもしれない。そんな大変な問題なんですよ。亀井農水大臣が中長期開門調査を見送る代わりに開門に代わる対策をとると言って調整池水質対策や有明海再生事業が行われたが、平成10年から平成25年まで調整池水質対策で500億円を超えているのではないか。それだけの金をかけても水質保全できないどころか益々悪くなっている。これを皆さん方がどう深刻に受け止めているのか。しかも、開門すれば一発で解決する問題ではないか。水質問題の観点からも開門を深刻に受け止めてもらいたい。また有明海再生事業として430億円使っているが、有明海は再生するどころか漁業被害は益々悪くなっている。他の省庁や県の事業を合わせると莫大な金額になる。開門を脇において協議しても有明海の再生にはならない。
平方:いくら金をかけても開門しない限り海は良くならない。開門して潮流を取り戻すことが一番の対策。それをしないで盛り土をしてタイラギを持ってきても水が悪いんだから死んでしまうだけ。無駄なことに金をつぎ込んでいる。漁業者が求める真の再生事業になんで金を使わないのか。三重県で行われているアサリの垂下養殖など、巨額の費用をかけなくてもできることがあるのではないか。その実験には協力する。
豊(農村振興局):前向きに検討する。
堀:今の悲惨な現状に対してごく一部の救済に過ぎないがぜひやってもらいたい。亀井農水大臣が中長期開門調査に代わる方策を提案して農水省だけで430億円以上かけて対策をやってきたが、10年以上やって何の効果も出ないどころか逆に悪くなっている。これにしがみついていても再生につながるわけがない。抜本的に見直すべき。
posted by 後藤富和 at 16:46| 有明海