2014年10月31日

【九弁連】全面的可視化と全面的証拠開示をめざして

九州弁護士会連合会第67回定期大会シンポジウム「全面的可視化と全面的証拠開示をめざしてーえん罪を生まないガラス張りの刑事司法を!-」(鹿児島)に参加しています。

【志布志事件】(野平康博報告)
存在しなかった4回買収会合の舞台
入水自殺(未遂)
刑事事件無罪判決の問題点
1 任意性・特信性を認め、自白調書採用
→異常な取調べ
箝口令・供述合わせ・収斂せず。
→秘密交通権の組織的侵害
2 証拠開示なし
→検察官は証拠を誤魔化す
生証拠を加工
そして、捜査報告書を作成
4つの国賠訴訟
1 踏み字国賠
→判決 公権力を笠に着た違法な取調べと断罪
2 秘密交通権侵害国賠
→判決 固有権としての秘密交通権の組織的侵害
3 たたき割り被害国賠
平成18年提訴(平成27年3月判決か)
4 無罪国賠
平成19年提訴(平成27年3月判決か)
県警の捜査の違法
1 確度の低い端緒
嫌疑なき連行・取調べ
2 たたき割りによる自白強要
3 虚偽の嫌疑の作出
箝口令という名の供述合わせ
4 秘密交通権の組織的侵害
検察官の公権力行使の違法
1 5回公訴提起の違法
合理的な嫌疑がないと判断すべきであった
2 起訴後の接見禁止請求、保釈不相当の意見提出し、保釈決定に対する抗告
3 アリバイを認識し得たのに漫然と公訴維持
原告らの無実を知りながら、アリバイ成立を恐れて訴因不特定
接見交通権を組織的に妨害し、公判中に否認に転じることを阻止した

【大崎事件】(鴨志田祐美報告)
原口さんの自白の不存在
自白事件として扱われた共犯者たちの公判手続と同時並行処理された
知的障がい者に対する配慮に欠けた審理
→原口さんは一貫して犯行を否認したが、懲役10年の有罪判決を受けた。控訴、上告とも棄却され、原口さんは満期服役した。
第1次再審請求→棄却
第2次再審請求→現在、特別抗告係属中(最高裁)
脆弱な証拠構造
大崎事件と全面的可視化〜供述弱者の自白〜
取調べ段階
・質問の意味がわからない→繰り返し同じ事を聞かれる→叱られていると思う→これ以上叱られたくない→「はい」と答えると優しくしてくれる→自白調書が作られる←密室なので実情は闇の中
公判段階
・公判法廷での自白だから任意性あり?
←ほとんど語られていない
←弁護人・検察官・裁判官の違いが分からない
←刑事が傍聴席で見張っている
←「何を言っても無駄だ」という絶望感
→公判廷の自白の過信への疑問
証拠の偏在
・圧倒的な証拠収集能力の差
・検察は有罪方向の証拠のみ提出
・無罪方向の証拠は隠されたまま
再審と証拠開示

【基調報告】「法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会」の審議状況及び審議結果等について(小坂井久)
法整備のための要綱(骨子)の概要
(対象事件)どんな事件で取調べの録音・録画が義務付けられるのか
裁判員対象事件・検察官独自捜査事件→それ以外の事件は対象外
(対象者)誰に対する取調べで録音・録画が義務付けられるのか
逮捕・勾留されている被疑者→逮捕前の被疑者や被害者・参考人は対象外
(例外事由)全過程録音・録画の例外はqるのか
@録画機器の故障など記録が困難なとき(物理的支障)
A被疑者が録画・録音を拒否するなど記録すると被疑者が十分に供述できないとき(本人の拒絶など)
B被疑者の供述内容が明らかにされると、被疑者や親族に危害が及ぶおそれがあり、記録すると被疑者が十分に供述できないとき(心理的支障)
C指定暴力団の構成員による事件(暴力団構成員事件)

【パネルディスカッション】
指宿信(成城大学教授)、小坂井久(弁護士)、桜井昌司(「布川事件」えん罪被害者)、周防正行(映画監督)
日本の刑事裁判の最大の問題は、密室(ブラックボックス)の中で捜査機関によって作文が作られていること。そして、その一人称独白の奇妙な作文が裁判所に第一級の証拠として扱われていること。
「市民は、裁判官はすべての証拠を見てから判断しているものと誤解している。証拠は公共の財産であり、被告人に有利な証拠もすべて開示されるべきだ。検察官の財産じゃない。隠すのはおかしい。被告人が証拠にアクセスできる権利が保障されなければえん罪はなくならない。すべての証拠の全面開示を求める」(周防正行)
透明性と説明責任(指宿信)
えん罪は警察が作る。警察はその作り方を見せたくない。街中に監視カメラが付いているけど、警察署の中にこそカメラをつけろ。(桜井昌司)
posted by 後藤富和 at 13:04| 人権