2014年01月11日

諫早干拓をめぐる国の姿勢

 10日付佐賀新聞は一面トップで、国営諫早湾干拓事業の開門差し止めを認めた長崎地裁の仮処分決定に対し、農林水産省が9日に異議を申し立て、同時に漁業者らが開門までの制裁金を求めた「間接強制」への対抗措置として、「請求異議」の訴えを佐賀地裁に起こした、ことを伝えています。その中で「方針なき無責任対応」の見出しの大鋸宏信記者の解説記事が光を放っています。全文を紹介したいと思います。
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 国が行った二つの「異議」は、有明海をめぐる諍(いさか)いを引き起こした責任者として主体的に開門の是非を判断することなく、解決に向けた明確な方針を示さない「窮余の策」で、いたずらに混乱を長期化させる無責任な対応と言わざるを得ない。  国の主張は、福岡高裁の開門判決に従わなかったための制裁金について「地元の反対で対策工事ができず、開門禁止の仮処分も出るなど事情が変わったから勘弁して」、開門差し止めの長崎地裁仮処分には「対策工事なしの開門はしないから、農業被害は出ないので大丈夫」というもの。開門する、しないの判断は示さずに漁業者、営農者双方の不信感をさらに高めた。  佐賀県の漁業者ら開門派の原告弁護団や県関係者も、仮処分に異議を申し立てるよう求めていた。ただ、今回の国の対応は形式的には異議の申し立てだが、内容は従来の主張を踏襲しているだけで、これまで国が主張しなかった排水門閉め切りによる漁業被害を認めない方針は変えていない。漁業者が求める「異議」とは本質的に異なる。  さらに、請求異議は新たな訴訟であり、最高裁まで問題が長期化する懸念は強い。仮に最高裁で国が勝訴しても、強制執行を止めるだけで確定判決の開門命令の効力が消える訳ではない。  国は相反する二つの法的義務について「裁判で矛盾解消の判断を求める」とする。本気で矛盾解消を目指すなら、開門差し止めの仮処分を覆さない限り、根本的な解決にはつながらない。国がやるべきは当事者の不信を高める対応でなく、従来の姿勢を改め、真の解決に向けた誠意を尽くす努力以外にあり得ない。(大鋸宏信)
posted by 後藤富和 at 09:52| 有明海