2013年10月20日

国際社会がみた「日本軍慰安婦」と日本の対応

福岡県自治体フォーラム午後の分科会では「国際社会がみた『日本軍慰安婦』と日本の対応〜問われる私たちの人権感覚」(講師堀田広治日本コリア協会福岡理事長)に参加しました。
1 はじめに
慰安婦とは、Sex Slave(性奴隷)
慰安所とは、日本軍が1か月以上駐屯する地域に設置。目的は、強姦防止、性病防止、防諜、日本兵のストレス解消。
慰安婦の数についての正式な統計はなし。研究者によれば2万〜20万人と言われている。
2 起ち上がった慰安婦たち
金学順(キムハクスン)さんが元慰安婦であることを初めて名乗り出て日本を告発(1991.8)。
日本政府を提訴(1991.12)
ソウル日本大使館前での水曜デモ開始(1992.1.8)
ナヌムの家開設(1992.6)
慰安婦少女の像をソウル日本大使館前に設置(2011.12.14)。慰安婦に関わる像や碑は日本に3か所、アメリカに4か所設置。
3 国際社会から日本政府に相次ぐ勧告・提言
1996.2 国連人権委員会で日本政府に個人補償、公式謝罪など勧告
1998.8 国連人権小委員会で「『慰安所』について日本政府の法的責任の分析発表」
2007.7 アメリカ下院本会議が慰安婦問題の早期解決を認める決議を採択。その後、オランダ、カナダ、EU、フィリピン、韓国、台湾の各国議会でも同様の決議採択。
2008.5 国連人権理事会が日本政府に勧告。
2010.10 国連人権理事会が日本政府に再勧告。
2011.8 韓国憲法裁判所が韓国政府が日本と交渉する努力をしないのは憲法違反と判決。
2013.5 国連拷問禁止委員会が慰安婦問題について「日本の政治家や地方の高官が事実を否定し、被害者を傷つけている」と勧告。
4 日本の対応
・軍関与否定から河野談話(軍の関与を認め「お詫びと反省」を表明)へ(1993.8)http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/taisen/kono.html
・失敗したアジア女性基金(1995.7)
・破綻した日本政府の「元『慰安婦』賠償は日韓条約で解決済み」主張
・櫻井よし子氏ら歴史事実委員会がワシントンポスト紙に「慰安婦は性奴隷ではなく公娼である」との意見広告(2007.6)
・安倍晋三氏らがニュージャージー州の地元紙スターレッジャー紙に意見広告(2012.11)
・日本政府は韓国憲法裁判所の判決に基づく「慰安婦」協議の要請を拒否
・被害事実は認定するも時効などを理由に賠償請求を棄却する日本の裁判所
・日本政府は、国連人権関連機関からの勧告には拘束力がないとして受け入れ拒否
・2000.4「戦時性的強制被害者問題解決促進法案」が民主党から提案(社民、共産も参加)するも、成立の見通し立たず。
・歴史教科書からの「慰安婦」削除
・地方議会の「慰安婦問題解決を求める意見書」採択相次ぐ(2008.3宝塚市を皮切りに札幌市、福岡市など43議会)
http://www.city.fukuoka.lg.jp/gikai/result/pdf/iken_2107.pdf
5 おわりに
・問われる私たちの人権意識〜国際社会からみたズレ
・歴史に学ぶ姿勢が不十分
・国際社会で「孤立の道」を進まないために

「63 years on 終わらない戦争」視聴
posted by 後藤富和 at 16:01| 平和

安倍政権と改憲問題

西南学院大学で開催された第33回福岡県自治体フォーラム(主催公益社団法人福岡県自治体問題研究所)に参加しました。

西南学院大学の階段教室の各机には電源とLANが完備。ノートパソコンで筆記ができます。驚きました。

午前中は記念講演「安倍政権と改憲問題・『ハシズム』との関係を中心に…歴史の現局面とこれからの展望を考える」(熊野直樹九州大学大学院法学研究院)
1 安倍政権と改憲問題ー「新しいファシズム」到来の危機ー
今年でヒトラー内閣成立80周年(1933.1.30)
ヒトラー独裁成立の法的根拠「全権委任法」
これと同じ内容の条項が自民党憲法改正草案99条に「緊急事態」条項として盛り込まれている。
麻生副総理の「ナチスの手口に学べ」発言は、彼らの目指す方向性を正直に語ったもの。
2 「ハシズム」の台頭
大阪維新の会の台頭とその横暴ぶり
「維新八策」と維新政治塾の胎動
「ハシズム」とファシズム:彼の国粋主義的イデオロギーと独裁的政治手法、テレビを巧みに利用した大衆操作と動員、敵味方を恣意的に分けて、「敵」と定めた勢力の人権を蹂躙して徹底的にイジメ抜くスタイル。民主主義を自分勝手に多数派の専制へと読み替えて、議会での討論や少数派を蔑ろにして、条例の強行可決を繰り返す。
3 ファシズムと「ハシズム」及び安倍政権の比較検討
「上からのファシズム」=安倍政権(権威主義的反動派)による改憲策動
「下からのファシズム」=日本維新の会(疑似革命派)による改憲策動
今後、「ハシズム」が安倍政権による「上からのファシズム」を促進するための口実ないしは刺激剤として利用される可能性大。
「ハシズム」の凋落に関して油断は禁物。「ハシズム」が、消費税8%引き上げ実施に伴う不況の激化によるアベノミクス崩壊で、復活するかもしれないし、第二の「ハシズム」が台頭するかもしれない。
「ハシズム」台頭の背景
政治的、経済的、財政的、社会的危機の累積化=複合的危機
見えない展望と閉塞感
こうした状況の中での「ハシズム」の台頭
人々の不安、不満、怒り、いらだち、羨望、悲しみ、恨み
このような負の感情(情念)を刺激し、操作して、大衆の支持を動員
公務員や生活保護受給者、高齢者などの社会的弱者を下品な言動によって徹底的に攻撃し、罵倒し、貶めることによって、大衆の喝采を得る=「イジメの政治」
自分より得・楽しているっぽい誰かが許せない人々を刺激し動員=ジェラシーの政治
公務員や社会的弱者をスケープゴートとして攻撃し、大衆の負の感情(他人の不幸は蜜の味)を刺激することによって、大衆の支持を拡大するスタイル=ポピュリズム
その際、マスコミ、特にテレビを利用して、大衆を扇動し支持を得る。
現状に対する不満、閉塞感→現場打破への渇望「とにかく何かやってくれそう」
空虚な「変革」や大衆受けする日和見主義的な政策を唱え、
現場打破(維新)を演出。
マスコミ(テレビ)を利用した大衆扇動(デマゴギー)による支持の調達
マスコミ(テレビ)も「ハシズム」を賛美し、視聴率稼ぎのために積極的に利用した
「ハシズム」とは何か?
軍隊的官僚主義と競争原理主義の合体にすぎない。
大衆運動を伴った極端な新保守主義。超国家主義。
社会福祉費の大幅削減
密告の奨励=監視社会化(ゲシュタポ)
グローバリズムによる国民国家の揺らぎに対する国家(国粋)主義的再統合の試み
「ハシズム」と安倍政権との共通点
時代遅れの新保守主義
「ハシズム」と安倍政権は、政治的に国家(国粋)主義的傾向が極端に強く、個人の精神的自由(思想・良心の自由)に強権的に介入し、管理・監視を強化する。
「民意」ないしは「民主主義」の名の下、人民投票独裁による強制的な画一化を通じて国家(国粋)主義的な管理・監視体制の構築を目指す。
憲法学者宮沢俊義「リベラルでない民主制は、民主制の否定であり、多かれ少なかれ独裁的性格を帯びる。民主制は人権の保障を本質とする」
20世紀のファシズムの特質=戦争遂行と共産主義への対抗革命のための人民投票独裁形態のウルトラナショナリズム(超国家主義)による強制的画一化。
4 「上からのファシズム」=安倍政権と「下からのファシズム」=「ハシズム」による改憲策動
3.11震災のどさくさに紛れて、憲法改正に必要なすべての手続きの制度化が完成(2011.5.18)。
憲法改正のハードルを下げるため憲法96条改正議員連盟(2011.6.7)。
震災を利用して「非常事態条項を緊急に議論」(2011.11.17)。
国家存亡の危機の際、国家を守るために国民の権利を制約し、義務を負わすと石破茂氏公言(2011.12.1)。
ドイツのヴァイマル憲法はまさに非常事態条項(48条)を有しており、ヒトラーによって、この非常事態条項が悪用され(1933.2.28大統領令)、国民の私権や権利(人権)が一時的に停止され、反対派の弾圧やユダヤ人迫害へとエスカレートしていった。麻生氏が目指すのはこの姿。
震災対策として非常事態条項を議論しているが、その真意は戦争遂行目的。
「ハシズム」による「下からのファシズム」と改憲策動
・参議院の廃止
・首相公選制
・憲法96条改正
自民党と安倍政権による「上からのファシズム」と会見策動
2012.4.27 自民党「日本国憲法改正草案」発表
「国防軍」、軍法会議(審判所)設置
石破氏、出動命令に国民が従わなければ「死刑」(2013.4.21)
緊急事態条項(99条):ナチスドイツの全権委任法1条と同様の内容を盛り込む。
自民党改憲案Q&Aは99条について「大きな人権を守るために、そのために必要な範囲でより小さな人権がやむなく制約されることもあり得る」と明記。
改憲草案においても、自民党は麻生氏が発言したように「ナチスの手口」から学んでいる。
安倍氏「戦後レジームからの脱却」=国防を基調とした天皇中心の「管理・監視国家」体制の樹立を目指す。
「マイナンバー法」成立
衆参両院で過半数を制した安部政権は「管理・監視ファシズム」に向けて、ナチスの手口に学んで「合法的な装い」の下、暴走しはじめている。
→秘密保護法成立を目指す(国民の知る権利を「合法的」ひ封殺)
→国家安全保障会議の設置を目指す(大本営政府連絡会議の復活)
→内閣法制局長官の交替による集団的自衛権行使の容認を目指す(改憲手続きなき改憲)
→9条骨抜き3点セットの実現による会見手続きなき改憲の成功
→時の政府による恣意的な憲法解釈(違憲→合憲)が慣習化することになる。
→「法の支配」から「人の支配」へ(立憲主義の崩壊)
→日米軍事協力の指針の再改定による戦争準備体制の構築=国防国家化
→戦死者の英霊化のための追悼施設の準備(靖国神社の再利用)
5 これからの展望ーわれわれは何をなすべきか?ー
アメリカの戦争を喰物にして発展していくのが「新しいファシズム体制」の特徴
最大の矛盾:デモクラシー帝国であるアメリカの戦争に参加しようとしている安倍政権が、アメリカの歴史観である東京裁判史観(先の戦争は侵略戦争)を否定している点
安倍政権の「大東亜戦争」美化は、実は、真珠湾攻撃をも美化することになる。
安倍政権の目指す国家体制がいかに危険かを、皆と大いに勉強して、大いに語らい、大いに身近な人たちに語りかけていくことが肝要=草の根の討議デモクラシー(会話、メール、ツイッター、ライン、ブログなど)
posted by 後藤富和 at 12:38| 平和